2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03332
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
山田 卓平 龍谷大学, 法学部, 教授 (00330415)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際責任 / 共有責任 / 共同責任 / 加担責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数のアクター(国家・国際機構・個人)による協働関係が日常的になっている現状に鑑みれば、国際法上の責任論もそれに対応しなければならない。すなわち、国際法における共同責任論の整備が必要となる。この研究の代表例が、ノルケンパー(Andre Nollkaemper)教授(アムステルダム大学)による2010年開始の「共有責任(Shared Responsibility)プロジェクト」である。 そこで本年は、本プロジェクトの研究成果の一つである、Andre Nollkaemper & Ilias Plakokefalos (eds.), Principles of Shared Responsibility in International Law: An Appraisal of the State of the Art (Cambridge University Press, 370 pp., December 2014)の書評を執筆し、公表した(龍谷法学50巻4号(2018年3月)807-871頁)。本稿は書評の形式ではあるが、全部で64頁を費やして、本書の内容の紹介のみならず、本書の意義と問題点を詳細に分析した上で、最後に共有責任論自体の課題を提示した。課題とは、第1に、共有責任の拡大、特に国家責任条文16条(本書の立場からはさらにはその要件の緩和)による加担責任の拡大は、相互依存が進む国際社会の現状に照らせば、諸国家にとって受け入れがたい状況になるおそれがあること、第2に、責任アクターが増えることによりそれぞれが他アクターに責任を擦り付け合うことが懸念されることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗が若干遅れている理由は、当初の予定では学説の検討の上でさらに国家実行などの国際実践の検討に入っておきたかったところ、現在は主に学説の検討段階にとどまっているためである。しかし、本テーマは実践よりも学説が先行している印象があるので、これは必要な作業だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記書評により、共有責任論についての諸学説の課題を抽出したので、それを踏まえ、国際実践の検討に進んで、共同責任についての実定法規範の現状の把握およびその評価に進んでいきたい。
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Causes of Carryover |
8,992円の次年度使用額が生じた一因は、旅費が予定よりも低額だったためである。これは、来年度の書籍の購入などで使用する予定である。
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