2018 Fiscal Year Annual Research Report
The role of civil litigation and problems related to Abuse of superior bargaining position
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16K03335
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長谷河 亜希子 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (00431429)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 独占禁止法 / 優越的地位の濫用 / 個人事業主 / フリーランサー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、フランチャイズ加盟者のほか、フリーランスといった個人事業主が抱える諸問題にまで観点を広げて、それら諸問題について、独禁法を含む経済法により解決できるか否かに関して検討をした。コンビニオーナー、短期・不定期の仕事を受注するフリーランサー、フードデリバリー等の配達員は、労働者ではないものの、労働者類似の働き方をしている者が少なくない。そして、近年、発注者がそれらの者に対して、支払い代金の不払・支払遅延、不当な低報酬、不当な条件の押し付け等の行為を行っているということが問題視されている。しかし、それらの者は労働者ではないため、労働法による保護を受けられない。そこで、独禁法とりわけ優越的地位の濫用(独禁法2条9項5号)による規制の可能性について、2018年2月に公正取引委員会競争政策センターが公表した「人材と競争政策に関する検討会報告書」で示されている考え方や、これまでの判例等を参考として検討を行った。 上記個人事業主が、発注者等の行為を優越的地位の濫用であるとして提訴する場合を想定すると、上記のような個人事業者の中には、短期間で次々と取引相手たる発注者が変わる者も少なくない。1回限りの取引の場合にも発注者の取引上の地位の優越性は認定されうるが、役務提供者の「発注者に対する取引依存度」や「取引先変更の可能性」といった、従来からの基準に依拠して優越的地位の有無を判断するとすれば、優越的地位が認められない可能性がある。現在、公取委は、プラットフォーマー規制に関する議論の中で、企業・個人間の取引への優越的地位の濫用規制の適用を検討しており、そこでの議論なども参考としつつ、優越的地位の濫用規制の解釈の在り方について、今後、さらに検討を続ける必要がある。
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Research Products
(1 results)