2017 Fiscal Year Research-status Report
医療・介護保障法制における事業型施策の機能と法的構造に関する研究
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16K03339
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 道彦 金沢大学, 法学系, 教授 (10295016)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療 / 介護 / 事業型施策 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、市町村における介護保険事業計画の策定、介護予防・日常生活支援総合事業の推進状況、在宅医療と介護の連携推進事業の検証を通じて、事業型施策の類型、事業を通じて実現される事実上および法的な利益、給付との関係、財源等のあり方について検討を進めた。介護保険の総合事業では、事業型のサービス利用者と保険給付によるサービス利用者を並存させたサービス提供のあり方に種々の課題があること、短期集中提供型のサービス利用者の振り分け等において課題があることを確認した。また、在宅医療と介護の連携推進に係る事業では、具体的な医療機関と介護事業者との連携の局面において提供される情報内容に課題があることを確認した。さらに介護保険事業計画の策定においては、県が策定する医療計画との連携において実質的な調整が十分機能していないことを確認した。これらの施策上の課題が各種の事業を通じて実現される利益の構造にいかなる影響を及ぼしているかについては、さらに検討を進める予定である。 以上の作業と並行して、アメリカ医療制度に関する共同研究の一環として、メディケア、メディケイド、児童医療保険プログラム、メディケアの診療報酬制度改革、薬剤政策に関する研究を担当し、わが国の事業型施策と共通してみられる課題の抽出を図った。これに基づく刊行業績として、アメリカの薬剤政策に関する論文1本、医療制度改革に関する論文1本を執筆した。さらに、次年度に実施する調査の予備的作業として、イギリスにおける地域医療および社会サービスの提供のあり方についてのサーベイを進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究計画に基づき、医療保障法制、介護保障法制における事業型施策のあり方について、具体的ないくつかの事業を取り上げて検討をすすめ、実施上の課題などを確認した。これらの検討をもとに、今後の研究とりまとめに向けた基礎的作業を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本研究課題の最終年度であり、介護保険の総合事業を中心とした各種課題の検討および海外調査での知見をもとに、研究のとりまとめを行う。社会保障における事業型施策の実態、法的形式、法的利益などについての分析を総合的に考察し、事業型施策の法的規律のための法的枠組みの構築を予定している。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査が、私の大学業務の事情、および先方の都合により平成29年度内に実施できなかった。このため、平成29年度に予定していた海外調査については、平成30年度の早い時期に実施する。次年度使用額については、当初より翌年度分として請求した助成金とあわせて、本研究計画に沿った使用を予定している。
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Research Products
(2 results)