2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03360
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川出 敏裕 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80214592)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保護処分 / 少年 / 若年成人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、保護処分の法的性格という問題を、①保護処分の執行内容、及び、②保護処分の成人への適用、という問題との関係で再検討するとともに、それを通じて、①の問題については、少年院での処遇、保護観察それぞれについて、その執行段階における処遇の目的と限界を明らかにし、また、②の問題については、保護処分を若年の成人にも課すことの当否と、その具体的な方法を検討することを目的とするものである。 研究の初年度である平成28年度は、保護処分の法的性格に関するこれまでの議論を再検討するとともに、それを踏まえて、①保護処分の執行の在り方、②保護処分の成人への適用の当否、という2つの問題につき、その検討の方向性を明確にすることを目標とした。 具体的には、この問題に関するわが国の文献を網羅的に検討するとともに、あわせて、ドイツの若年成人に対する少年裁判所法の適用に関する議論について検討を行った。そのうえで、研究を開始した当初の考え方を、雑誌論文として公表した。 さらに、平成27年11月に法務省に設置された「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」にアドバイザーとして参加し、関係者からのヒアリングを行うとともに、民法の成年年齢を18歳に引き下げた場合に、成年として扱われる18歳・19歳の者に少年法を適用することの可否、及び、少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げた場合に、既存の保護処分に準ずる新たな処分を課すことの当否についても検討を行った。その成果は、平成28年12月に、「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」取りまとめ報告書として公表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
法務省の勉強会にオブザーバーとして参加することにより,ヒアリングにおいて各界の専門家から,本研究に関係するテーマについて幅広い意見を聞くことができた。また,実務家と率直な意見交換を行うこともでき,貴重な情報が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年3月より,少年法の適用年齢の引き下げ等を検討する法制審議会少年法・刑事法部会に委員として参加することになったため,その審議と並行するかたちで,本研究の課題についても検討を行っていく。まずは,若年成人に対する特別な処分について,諸外国の状況を検討することにしたい。
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Causes of Carryover |
購入予定であった書籍の刊行が遅れ,購入できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
刊行され次第,その購入費に充てる。
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Research Products
(1 results)