2018 Fiscal Year Annual Research Report
The role of the criminal law in the terminal care
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16K03361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐伯 仁志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10134438)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医事刑法 / 安楽死 / 尊厳死 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度においては、我が国の法制度及び終末期医療に関する研究を継続しながら、比較法的研究にもとり組むという当初の計画に基づき、研究成果の取りまとめに向けて研究を進めた。特に、比較法については、昨年度、医師による臨死介助が合法化されたカナダの状況について詳しく調査を行い、その成果をまとめた論文を本年度に発表したが、これに続いて、本年度は、オーストラリアのヴィクトリア州において医師による臨死介助を合法する刑法改正が行われたことから、同改正の内容・経緯について詳しい研究を行うと共に、同改正が連邦国家であるオーストラリアの他の州の法および連邦法に与える影響について調べるため、同国のクイーンズランド工科大学に設置された医事法に関する研究所を訪問し、所長をはじめとする研究者にインタビューを行うと共に、同大学の図書館において文献調査を行った。その成果については、研究会において研究報告を行ったほか、論文にまとめる予定である。以上のように諸外国では、医師による臨死介助(積極的安楽死)を合法化する法域が増加してきているが、日本においては、治療中止が当面の最も重要な課題である。この問題については、静岡県立総合病院において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について講演を行い、出席された医療関係者と意見交換を行った。本研究の成果の一部として、治療中止の問題に関する論文を執筆中であり、近い将来に発表する予定である。
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