2018 Fiscal Year Annual Research Report
Police Transparency in the Information Society.
Project/Area Number |
16K03371
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三島 聡 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60281268)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 警察 / 録音・録画 / 透明性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、過去2年間の研究をふまえつつ、日本の警察の現状についての検討をおこなうとともに、海外の状況の一層の把握に努めた。前者については、伝統的な取調べにおける共犯者自白の信用性が争われた大崎事件の第三次再審請求審決定および即時抗告審決定を分析するとともに、新たな情報技術であるGPS機器を用いたGPS捜査に強制処分性を認めた最高裁判決の検討をおこなった。これにくわえて、National Association for Civilian Oversight of Law Enforcement (NACOLE、米国) の年次大会に招かれ、日本の警察組織の透明性や適正さの確保等に関わる外部機関(公安委員会、留置施設視察委員会等)の内容や課題についての報告をおこなうとともに、警察活動の適正さを図るためには、その権限行使の限界を明確にしておく必要があるとの問題意識から、警察官職務執行法2条1項の職務質問にともなう有形力行使の可否についての論稿を執筆した。後者の海外の状況の把握については、上記NACOLEの大会で、アメリカ・カナダ各地の警察活動をチェックする外部機関の関係者とさまざまな意見交換をおこなうとともに、トロントにおいて、警察官による重大犯罪を独自に捜査する第三者機関 (SIU) や不服申立ての調査をおこなう第三者機関 (OIPRD) 等にたいして、情報技術の発展の影響等を含めた聴き取りを実施した。 当初研究の主眼においていた警察官装着カメラについては、すでに米国における導入の経緯、その有用性、課題などを含む包括的な論稿を公刊しており、本研究の中核部分については一定の成果を出しえたものと考えられる。また、この3年の間に、GPS捜査、取調べの録音・録画事例の分析、改正通信傍受法、職務質問の際の実力行使、警察における外部機関など、関連分野で業績をあげることができた。
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Research Products
(6 results)