2019 Fiscal Year Research-status Report
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16K03372
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹倉 宏紀 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00313057)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 弁護士・依頼者間秘匿特権 / 証拠法 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画の最終年度である2019年度においては,前年度に比較法国際アカデミー福岡会議での共同研究に参画することで入手し得た各法域の最新の情報についての分析・検討とそれに基づく資料の追加のための作業を行い,研究成果の取りまとめに向けた研究を進めたほか,日米の研究者・実務家が多数参加する企業犯罪をめぐるワークショップに参加・登壇し,企業犯罪の捜査・訴追の文脈における弁護士・依頼者間秘匿特権の保護のあり方について議論をし知見を深めることができた。 ところで,2019年の通常国会で,裁量的課徴金制度を導入する独禁法改正が成立し,それに連動させる形で,公取委規則および公取委のガイドラインにより,独禁法上の行政調査において弁護士・依頼者間秘匿特権に類する保護を導入する方針が明らかにされた。我が国における弁護士・依頼者間秘匿特権の保障のあり方についての具体的提言を目指す本研究の目的を達成するためには,その具体的内容の検討が不可欠である。そこで,行政手続法に基づく意見公募手続が近日中に実施されるという見通しのもと,具体案の提示を待っていたが,公取委における立案作業が想定外に長引き,2020年4月に至ってようやくその案が公表された。そのため,当初の見込みのとおりに研究を完遂することができなかった。また,研究成果の取りまとめに向けて,文献等では把握し得ない疑問点を解消する等の目的で実施することを計画していた海外調査は,前記意見公募手続の遅延に加えて,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い見合わせるほかなかった。 以上の理由により,2019年度中に公表し得た成果は,前記ワークショッップにおける報告(・発言)のほかは,本研究のいわば副産物にあたる数点の小論にとどまるが,研究期間の延長が認められたので,未了の作業を2020年度中に終えることを目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公取委規則案・ガイドライン案の公表の遅れに伴う研究の遅延,および新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う渡航制限による海外調査未了のため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度中に完遂することのできなかった公取委規則・ガイドラインの検討を行うとともに,今後の情勢次第ではあるが海外調査の実施も期し,それらの結果を踏まえて研究成果の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
公取委規則案・ガイドライン案の公表の遅れに伴う研究の遅延,および新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う渡航制限による海外調査未了のため。次年度使用額は,これらの作業およびそれに付随して必要となる文献の追加収集等の費用に充てる。
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