2018 Fiscal Year Research-status Report
途切れのない児童虐待対応策の検討―特に、刑事規制強化の観点から
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16K03374
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
柑本 美和 東海大学, 法学部, 教授 (30365689)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 児童相談所と警察との連携 / 情報共有 / 加害者のケア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、警察と児童相談所との連携、情報共有の望ましいあり方について、比較法的視点から、再度、文献研究を行った。比較法的にみると、いずれの国においても、当初は、児童を保護する機関と警察との情報共有がスムーズに行われていたわけではなかった。しかし、大きな事件の発生を機に、自機関のみが保有する情報だけでは、虐待の全容把握が困難であることが認識され、双方の期間が歩み寄り、情報共有に関するプロトコルなどが策定されるに至り、地域によっては、情報共有に法的根拠が与えられ、共有が義務化されるようにもなったのである。さらに進んだ地域では、情報共有のみならず、子どもの安全確認現場への同行も義務付けられ、また、警察に対する立ち入り検査権も与えられるなど、連携のあり方は深化している。それに加え、虐待対応の多い機関が、1か所に集約され、多機関連携が効率的に行われるようなシステムも構築されている。 我が国においては、大きな事件の発生を経てもなお、児童相談所と警察との情報共有がなかなか進まない現状がある。そして、その理由の一つとして、警察の役割、任務に対する理解が不足していることが考えられる。この点、他国においては、警察は、個人の生命、身体及び財産の保護を行う組織として認知され、活動分野は、極めて広範にわたっている。今後は、児童虐待対策における警察の役割について、さらに、一層、研究を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
イギリスにおけるチャイルド・デス・レビュー制度についての調査を行う予定であったが、現地での運用状況に進捗がなかったために実施を見送った。制度が完全に施行されていないこともあり、調整がつかなかったことが大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、イギリスにおけるチャイルド・デス・レビュー制度に関する現地調査を中心に、研究を進めていく予定である。さらに、現在の、警察と地方自治体社会福祉部との連携、情報共有についても、実態調査を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
イギリスにおけるチャイルド・デス・レビュー制度の運用状況の調査をする予定であったが、現地での運用がまだ定まらない状況であり、調査時期を延期した方が、確実な成果を得られると思ったため、次年度使用額が生じてしまった。また、研究会の開催に関する日程調整が進まなかったため、研究会の開催自体にも困難が生じてしまった。 今年度は、イギリスでの実態調査を遂行し、国内での研究会も開催する予定である。
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