2019 Fiscal Year Research-status Report
途切れのない児童虐待対応策の検討―特に、刑事規制強化の観点から
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16K03374
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
柑本 美和 東海大学, 法学部, 教授 (30365689)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 児童虐待 / 性的虐待 / 加害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、性的虐待の加害者に関する処遇のあり方についての基礎的研究を行った。 平成30年度中に児童相談所が相談を受けた性的虐待の件数は1,731件であり、年々、件数は増加している。しかし、それらの加害者に対して、どのような刑事司法手続きがとられたのかについては、詳細な報告がなされていない。 例えば、わが国では、2017年に刑法が改正され、監護者性交等罪が創設されたが、法務省刑事局の報告によれば、施行日から令和元年7月31日までの間に各地方検察庁から受けた報告に基づく起訴人数は、監護者わいせつ罪41名、監護者性交等罪86名とのことである(http://www.moj.go.jp/content/001314450.pdf)。しかし、これらの者に対し、具体的に、どのような刑罰が言い渡されたのか、どのような処遇を受けているのかについては、明らかではない。 わが国では、矯正施設において、また、保護観察において、性犯罪者処遇プログラムが実施されており、検証を通じて全般的に効果があることが明らかとなっており、現在、更なる充実を見据えた検討が行われている。しかし、そもそも性犯罪者処遇についてプログラムの実施以外の方策が必要ではないのか、さらに、性的虐待の加害者に対し、特別な処遇が必要ではないのかについても検討する意義はあるように思われる。 令和2年度は、上記の課題について、諸外国の制度を参考にしながら、行政的な対応も含めて、さらに考察を深める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
イギリスにおける新しい被虐待児童保護制度の運用について視察を行う予定であったが、運用が十分に進んでいないことに加え、新型コロナウイルスの影響で渡航が不可能となったことにより、視察を断念せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実現できなかったイギリス視察を実施するともに、虐待加害者への対応について、刑事司法制度の中で、新たに何ができるのかを検討したいと考えている。特に、性的虐待の加害者に対する新たな処遇の検討を行いたいと考える。
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Causes of Carryover |
実施予定だった視察について、先方の運用の進捗状況により難しいと判断したことで、その費用を繰り越すことになったため。
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