2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03375
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
深町 晋也 立教大学, 法務研究科, 教授 (00335572)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日常的迷惑行為 / 児童の拐取 / 監護者性交等・わいせつ罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、日常的迷惑行為に属するもののうち、主として、家族間において日常的に生じる様々な問題事象に関する研究、及び様々な場において日常的に生じ得る性犯罪に関する研究を行った。 家族間においては、刑法的に見ると問題のある事象が日常的に生じているが、「法は家庭に入らず」という法諺が端的に示すように、法的な分析・解決に馴染まない部分があることは否めない。本研究では、そうした問題領域のうち、2017年刑法改正で新設された、監護者性交等・わいせつ罪(刑法179条)をメインの1つとして扱い、その立法の経緯を踏まえた上で比較法的に考察し、当該犯罪の性質を明らかにした。 また、家族間で生じる問題として近年クローズアップされているのが、離婚などを契機とした両親による我が子の奪い合いと拐取罪の成否である。この問題は、民事法分野では大きな議論の進展があるのに対して、刑事法においては十分な議論がなされていない。本研究においては、ハーグ条約への加盟などにより、我が国においてもこの問題が緊喫の課題であることを示しつつ、主としてドイツ語圏における議論を詳細に分析・検討し、ドイツにおいても必ずしも親権者等による我が子の連れ去り、返還拒絶が直ちに処罰されるわけではなく、また、ドイツ語圏各国でも法規定のあり方や具体的な処理・対応に違いがみられることを明らかにした。 更に、日常的に生じ得る性犯罪として重要な問題類型は、暴行・脅迫によらない性的侵襲や性的嫌がらせであることに鑑み、この点を処罰対象として明確化したドイツの2016年刑法改正を詳細に分析した。そして、我が国において同様の規定を設けるべきかについても、そのメリット・デメリットを含めて検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、家族構成員など、いわゆる親密圏に属する人々の紛争を巡る問題について特に調査を行うことを計画しており、当該計画に従って研究はおおむね順調に進展しているものと評価できる。 特に、両親間における子の奪い合いに関する研究については、2017年10月及び11月に公刊された雑誌論文「ドイツ刑法における未成年者の引離しを巡る議論状況(上・下)―両親による子の奪い合い事例を中心に」においてドイツにおける議論状況を詳細に分析・検討しつつ、我が国の問題の明確化及びその解決に関する一定の指針も示している。 また、監護者性交等・わいせつ罪については2018年3月に公刊された紀要論文「家庭内における児童に対する性的虐待の刑法的規律」において、当該犯罪の性質及び具体的な要件解釈を論じており、ハラスメント規制についても、2017年8月に公刊された雑誌論文「ドイツにおける2016年性刑法改正について」において一定の検討を行い、我が国に同様の規定を導入すべきかについて一定の示唆を示している。 更に、我が国とドイツの性犯罪規定を比較・検討した成果を2017年8月にドイツの雑誌において、Ueber die Reform des Sexualstrafrechts in Japan - Ein Vergleich mit dem deutschen Strafrechtとして公表したこともまた、研究の進展を裏付けるものである。 他方、ストーカー規制については、当初の計画ほどに進展しなかったこともあり、全体として見れば、前述の通り、研究はおおむね順調に進展しているものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、前年度の研究計画のうち、家族構成員など、いわゆる親密圏に属する人々の紛争を巡る問題について引き続き研究を進める予定である。特に、両親間における子の奪い合いに関する研究をドイツ語圏全体との比較でより充実したものとすべく、スイス法に関する研究を進展させる予定である。また、親族相盗例のような、家族間における特別な刑罰阻却事由を定める規定についても、比較法的観点からの研究を進める予定である。 次に、平成30年度においては、日常的迷惑行為に関する理論的枠組みを構築すべく、イギリスにおける日常的迷惑行為に関する議論を分析・検討することにする。特に、2014年に改正されたイギリスの日常的迷惑行為の規制立法を検討対象としつつ、刑罰論の観点からの分析・検討を進めることにしたい。 こうした研究を行うべく、ドイツ語圏の大学において短期の研究滞在を行うことを予定している。
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Research Products
(10 results)