2020 Fiscal Year Annual Research Report
Criminal regulation of everyday nuisances based on comparative law analysis
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16K03375
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
深町 晋也 立教大学, 法学部, 教授 (00335572)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日常的迷惑行為 / 家族と刑法 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、日常的迷惑行為のうちでも特にオンラインにおけるものとして、著作権侵害にかかる迷惑行為を中心に扱った。すなわち、2020年6月に改正された著作権法における、①リーチサイト規制及び②著作権侵害コンテンツのダウンロード違法化について研究を行った。従来、著作権侵害コンテンツに関しては、アップロードに対する規制は存在するものの、アップロードされた侵害コンテンツに対してリンク等を設定する行為については、その違法性及び可罰性は十分に論じられていなかった。これに対して、①は新たにリーチサイトという「場」に特化した規制を行い、かつ特別な処罰規定を設けるものである。このような立法の合理性・妥当性について、児童ポルノ改変URL事件を中心とする従来の刑事法の議論の延長線上に属するものとして評価することが可能であることを示した。他方で、ダウンロード規制に関する②は、従来の違法ダウンロード範囲(録音録画)を大きく超える違法化・処罰化をもたらすものであり、その立法事実や本罪の保護法益、更には具体的な成立要件について批判的な検討を行った。 他方で、研究期間全体に渉り、日常的迷惑行為に関する問題事象として、特に「家庭内における犯罪・問題現象」を中心に研究を進めた。例えば、児童に対する性的虐待や親族相盗例、子どもの受動喫煙を規制する条例、両親間における子の奪い合いと拐取罪の成否、保護責任者遺棄・死体遺棄罪、ドイツにおける妊娠中絶広告の処罰規定及び子どもに対する予防接種の不履行といった、従来は個別に検討される傾向にあった諸問題について、「家族と刑法」という観点から統一的・包括的に検討を加えた。これらの家庭内における日常的迷惑行為の研究の成果は、2021年度に単著(書籍)として公刊される予定である。
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Research Products
(2 results)