2017 Fiscal Year Research-status Report
再犯リスク低減と更生の基盤づくりを目指したピアサポート活動の試行的実践とその評価
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16K03379
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
脇中 洋 大谷大学, 文学部, 教授 (10319478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 三江子 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (90288613)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ピアサポーティブ / 更生保護 / 再犯防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究助成2年目の平成29年度は、9月に北欧の更生保護の実態を調査するために、ヘルシンキおよびオスロの刑務所や更生保護団体を訪問し、施設や団体ごとの共通点や違いについて聞き取り調査を行った。また3月にはカナダ・ヴィクトリア市内の更生保護施設を複数訪問し、各施設ごとのコンセプトの違いや連携の在り方について詳細に調査した。 国内では、播磨社会復帰促進センター内で知的障害や精神障害のある受刑者が収容されている特化ユニットで行われているクラウニング講座(第11クール)に通い、効果検証のための質問紙調査を重ねてデータを収集した。また前期(第10クール)クラウニング講座で予備調査した内容を論文にまとめた。 このほか現実の刑事裁判(現住建造物放火被告事件・10月、強姦被告事件・9月、強盗殺人被告事件・6月)で、知的障害のある被告人や被害者の心理学的鑑定や情状鑑定を行って公判で証言し、罪を犯したり被害者として扱われた知的障害者の入口支援(取調べから公判まで)に関わることによって、ピアサポーティブな更生保護につながる知見を入手した。 さらに国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の「福祉の支援を必要とする矯正施設を退所した知的障害者等の地域生活支援」に関わる研究検討委員として随時研究検討会議に出席し、「矯正施設を退所した知的障害者等の住まいの変遷に関する研究」に携わって発達障害学会(8月)で発表するとともに、現職者向け研修(2月)で講演・鼎談、研修コーディネーターを務めて、ピアサポーティブな更生保護支援について検討・考察する機会を持った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
更生保護の実態調査については計画通りに進捗しており、クラウニング講座の効果検証研究のデータ収集も完了して分析の段階に入った。ただしピアサポーティブな更生保護プログラムの試行的実践については、対象施設との交渉に手間取ったために予定より遅れており、場合によっては研究内容を一部変更する可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の更生保護の実態調査については、特性の違いを抽出して記録化し、テーマ別に複数の発表機会へとつなげていく。 クラウニング講座の効果検証研究については、データの分析段階に入り、今後発表の機会を探っていく。 ピアサポーティブな更生保護の試行的実践については、今後も実践の機会を探っていくが、もし不可能な場合は、妨げとなっている要因についての総括をした上で、更生保護に関する組織的連携(専門職と生活支援の関連)の検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
当該年度3月の海外旅費(カナダ・ヴィクトリアの更生保護実態調査)を次年度助成金から捻出することにしたために差額が生じたが、差額分は平成30年度助成金を加えて使用する。
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Remarks |
大谷大学学術情報リポジトリ(なお本稿の要旨は真宗総合研究所研究紀要35.83-88.に掲載)
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