2018 Fiscal Year Research-status Report
再犯リスク低減と更生の基盤づくりを目指したピアサポート活動の試行的実践とその評価
Project/Area Number |
16K03379
|
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
脇中 洋 大谷大学, 社会学部, 教授 (10319478)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 三江子 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (90288613)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ピアサポーティブ / 更生保護 / 再犯防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究助成期間4年のうち3年目の平成30年度は、それまでデータを収集してきた播磨社会復帰促進センターにおけるクラウニング講座の記録を6月時点でとりまとめ、7月以降はそれ以前のクラウニング講座との比較検討のためのデータと照合する作業を続けた。 また国立のぞみの園の研究検討委員として、矯正施設退所後の知的障害者等に対する地域生活定着促進センターのコーディネート業務やフォローアップ業務が潤滑に進んでいるかどうか、課題は何かについての検討を進め、紀要にまとめた。 さらに実際の事件における心理学的鑑定では、平成29年度事実関係をめぐって争いのあった知的障害女性の被害聴取に関する課題について4月に「季刊刑事弁護」にまとめて投稿したほか、11~12月には中高年女性が常習累犯窃盗被告人とされた事例の控訴審で、目撃証人の供述分析を行うとともに、被告人に知的障害があることや、万引きを疑われた理由、これまで知的障害があることについて精神鑑定を経ても発覚しなかった理由について鑑定意見書にまとめて裁判所に提出した。 2月には、国立のぞみの園の研修を通じて三重ダルクと交流し、矯正施設退所者が抱える現状と課題について情報交換を行うとともに、治療的司法に関する知見を新たにした。 海外調査については、3月にカナダBC州ビクトリアを再訪し、複数の更生保護施設における理念の違いについて、あるいは先住民であるネイティブカナディアンの抱える課題について情報を収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
10月以降に実際の裁判における入口支援に関与し、裁判期日に合わせて目撃者の供述分析を優先させたため、以後の計画にあった更生保護モデルの構築に遅延が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までの助成金を活用して海外旅行調査を最終年度にも行うことにし、学会発表や論文作成などのとりまとめに入る予定。具体的には、複数期にわたって調査したクラウニング講座の効果検証について「刑政」に投稿予定のほか、カナダと北欧におけるピアサポ-ティブな司法福祉実践の紹介、日本の出口支援および入口支援における課題の抽出を行って、今後の研究のさらなる進展へとつなげたい。
|
Causes of Carryover |
当初平成30年度中に調査活動をより多く行う予定だったが、年度後半から知的障害者が被告人となった実際の事件鑑定を複数受任し、そちらの活動を優先して調査活動を次年度に延期したため。 調査活動は約半年遅れで次年度に持ち越しとし、とりまとめの作業を急ぐこととしたい。
|
Remarks |
脇中洋(2018),「日野町事件・HM氏の言い回しの変化に関する心理学的鑑定意見書」, 日野町事件第二次再審請求弁護団提出, 本文35ページ. 脇中洋(2018),「〈大阪高裁平成30年(う)第935号窃盗被告事件〉保安員の証言および被告人の行為に関する心理学的鑑定」, 大阪高裁提出, 本文47ページ.
|