2016 Fiscal Year Research-status Report
履行利益、信頼利益、費用賠償の相互連関-日本、アメリカ、ドイツの比較研究
Project/Area Number |
16K03381
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 清治 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20212772)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 履行利益 / 信頼利益 / 費用賠償 / 契約締結上の過失 / 契約締結過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
履行利益、信頼利益、費用賠償の相互関係という損害賠償法上の基本的・理論的問題について、比較法的知見に基づき考察を深め、その成果を解釈論的・立法論的提言に結び付けることを目的とする本研究プロジェクトにあっては、平成28年度は、その基礎的・文献的研究に注力をした。構想を練るのにかなりの時間を費やしたため、平成28年度内に公表された成果はないが、年度後半から、構想は徐々に形になってきており、平成29年度には、すでに下記の3つの成果が公表されることになっている(いずれもすでに原稿提出済み)。 第1は、契約締結過程における情報提供義務に関する論稿で、「契約締結過程の民事責任論と消費者契約法3条」というテーマのもと、法学教室6月号(2017年5月刊行予定)に掲載される(以下「論稿①」という)。そこでは、これまで誰も論じてこなかった費用賠償の可能性について検討を加えている。 第2は、契約締結上の過失に関する日本、ドイツ、アメリカの動向を概観する論稿で、「日本における契約締結上の過失理論の生成、展開、そして、課題」というテーマのもと、大村敦志編『民法研究 第2集 第4号』(2018年2月刊行予定)に掲載される(以下「論稿②」という)。 第3は、上記の2つの成果とは異なり、契約法ではなく、不法行為法に関わる論稿であるが、「不法残留外国人労働者の逸失利益・慰謝料」というテーマのもと、交通事故判例百選〔第5版〕(2017年8月刊行予定)に掲載される(以下「論稿③」という)。損害論に関するもので、本研究プロジェクトを推進する際、大いに手がかりとなったものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況については、上記の「研究実績の概要」のとおりである。すなわち、比較法的動向を含め、これまでの研究成果を十分に咀嚼した上、全体像については論稿②で、個別的な問題に対する解釈論は論稿①で、関連問題については論稿③で、それぞれ成果を得ており、「順調」といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、履行利益、信頼利益、費用賠償に関する文献的な研究を、比較法的考察も含め、さらに推進していく。また、特に契約締結過程の研究については、論稿①を通じて、研究対象及び研究の方向性としてかなり有望であるとの感触を得ているので、この方面での検討を一層深めていきたい。
|