2017 Fiscal Year Research-status Report
現代法における人と家族を起点とした民事責任法理の構想
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16K03384
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白石 友行 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (00571548)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民事責任 / 家族 / 人 / 損害賠償 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には、前年度に引き続いて、「民事責任法と家族」について、民事責任法が家族と関わりを持つ場面で展開されてきた様々な議論や判例を、現代法における家族のあり方という視点から批判的に分析して、それらに含まれる理論的、体系的、実践的問題を明らかにするとともに、個別問題への解釈学的提言を行う研究を実施した。 より具体的には、1.民事責任法は現代法における家族の多様性をどのように受け止めればよいか、2.民事責任法は場合によって問題となりうる画一的取扱いの要請をどのように評価し、それを受け止めればよいか、3.民事責任法は各家族関係の特質をどのように評価し、受け止めればよいか、4.民事責任法は各家族について場面に応じて相対的な取扱いを許容すべきかといった研究課題に応えるために、一方で、問題となる家族の枠またはサークル、家族のメンバー間の関係把握の仕方、典型的な家族像の有無および内容という視点(=家族のあり方という視点)と、他方で、民事責任法の要件・効果との接合関係、民事責任法で保護すべき価値、民事責任法の基本思想という視点(=民事責任法の枠組)から、民事責任法と家族が関わる場面を包括的に研究した。その成果は、いくつかの研究会で報告されるとともに、論文の形で公表された。 また、平成29年度には、「民事責任法と人」について、民事責任法が人のと関わりを持つ場面で展開されてきた様々な議論や判例を、現代法における人のあり方という視点から批判的に分析して、それらに含まれる理論的、体系的、実践的問題を明らかにするとともに、個別問題への解釈学的提言を行う研究に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には、「民事責任法と家族」について、一定の提言を行うとともに、「民事責任法と人」について、様々な場面で展開されている議論や判例が民事責任法の目的として設定されている諸理念からどのように評価されるのかという点と、民事責任法の要件や効果の枠組を解釈論的・立法論的にどのように構築すればよいか、個別の問題に対してどのようなアプローチをすればよいかという点について、一定の見通しを立てることができた。「民事責任法と人」については、若干、検討が不十分なところがあるものの、このことは、「民事責任法と人」に関する議論や判例の量が膨大であることを踏まえ、研究の当初から予想されていたことであり、その分、平成30年度の研究の量に若干の余裕を持たせていた。従って、全体としては、「おおむね順調に進展している」と評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度までの研究を総括するとともに、日本とフランスの両国について、前年度までの研究成果を踏まえ、人や家族との関連で、現代において生起し、また、将来的に起こりうるであろう個別の民事責任法上の問題へとアプローチをし、具体的な解釈論を示すとともに、その成果を民事責任の基礎理論や解釈枠組みに還元し、それらの正当性を再検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由について。夏季休業期間中にフランスへ渡航し文献収集を行うことを予定していたが、業務の都合によりこれを実施することができなくなったため、海外旅費を支出しなかった。日本において大規模な法改正が実施され、多くの書籍の出版が予想されたが、平成29年度中に刊行された書籍は想定していたよりも少なかった。フランスの法改正が平成29年度中に行われなかったため、それに関する書籍の出版も少なかった。平成30年度には、これらに関する多くの書籍の出版が予想されるため、図書経費を残しておく必要があると考えた。 使用計画について。(ほかの業務との兼ね合いもあるが)文献収集等のためにフランスへの渡航を予定しており、海外旅費として支出する。更に、法改正後には多くの図書を購入する。
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Research Products
(1 results)