2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Preventing Accounting Fraud under the Japanese Company Law
Project/Area Number |
16K03386
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀田 佳文 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (40375605)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 会計監査人 / 会計不正の抑止 / 経営者不正 / ゲートキーパー論 / 内部統制 / 経営判断原則 / 民事責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、会計不正を会社法を中心とした民事法のツールを用いて抑止・統制する手段を明らかにしようとする試みである。会計実務は会計監査人たる公認会計士の領分であるが、会計不正に際しての対応に関する責任のあり方について、会社法学と会計学・監査論・監査実務の考え方との間に隔たりがあり、この差異をいかに理解し、会計監査人には不正発見と対処へ、取締役には不正をしないインセンティブへといかにいかに動機付けていくか明らかにすることが本研究全体の目的である。 本年度は前年度に続き、ドイツ法との比較と同地における法律・会計実務家へのインタビューを実施し、両国における差異とそこから日本の監査法制への示唆を抽出する作業に従事した。その結果明らかになってきたのは、①ドイツでも会計不正は経営者不正に帰するケースが圧倒的に多く、KonTraG(企業領域統制透明化法)制定から20年を経た現在もなお、会計不正のコントロールが万全とは言い切れないこと、②両国の会計不正を対比すると、同じ経営者不正でもドイツでは経営者がいわば「私服を肥やす」タイプの会計不正が目立つのに対し、日本の会計不正は経営者が主観的には「会社のために」、つまり会社存続や実は業績悪化糊塗を目的として首脳陣の判断で行う会計不正が目立つことである。会計監査を通じて後者類型の会計不正を見破ることは多くの場合非常に困難であるか、あるいはコストに見合わない場合が多い。この点で日本における会計不正のコントロールは最終的に、取締役の監視監督をいかに実効あらしめるかにかかっており、会計監査人は不正の端緒を発見する重要な役割を担うが、単体でできることには限界があり、むしろ内部統制システム全体の中でその機能を活かしていくべきである。以上の成果については今後も継続して公刊していく予定である。
|
Research Products
(1 results)