2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03395
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小粥 太郎 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (40247200)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 実体法と手続法 / 民事執行法 / 立法論 / 民法 |
Outline of Annual Research Achievements |
民事実体法と民事手続法のうちでもとりわけ執行法との関係にかかわる問題について、立法論を視野に入れつつ、個別問題についての検討をつづけている。 具体的には、民法研究者、手続法研究者、裁判官との共同研究の機会に恵まれた。その成果は、これまでに4回にわたって雑誌に公表することができた。具体的には、インターネット上の表現に関する名誉毀損訴訟・発信者情報開示訴訟、表明保証条項違反を理由とする損害賠償請求訴訟、信認関係に基づく説明義務、現代における裁判所の情報収集や裁判のための証拠等修習の在り方をめぐる問題について、実体法と手続法の両面に及び、また、研究者からの視点だけでなく裁判官からの視点もふまえた形で、問題を分析し、将来を展望することができた。さまざまな問題について、裁判官を交えて現実的に議論するということは、おのずと、思考を実体法の枠内にとどめることなく、訴訟、さらに執行段階まで含めて考えることへと導かれた。 その他、本研究課題の成果として公表される予定はないが、民法414条について、他大学の研究者と意見交換をする機会が複数あり、そこでは、より直接的に、実体法上の債権と、その執行力との関係について議論をすることができた。 また、成果の公表は、次年度以降とならざるをえないが、共有物分割訴訟についての研究を進めており、ここでも、具体的問題に即して、実体法と手続法とりわけ執行法との関係の考察を深めることができている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個別問題についての研究は、共同研究という形で、予想以上の成果を得ることができた。さまざまな問題を裁判官を交えて現実的に議論するということは、おのずと、思考を実体法の枠内にとどめることなく、訴訟、さらに執行段階まで含めて考えることへと導かれた。 また、他の研究者との意見交換によって414条および周辺問題についての理解を深めることもできた。さらに、共有物分割訴訟の検討も非常に有益であり、これまで、実体法と手続法の関係が十分検討されていなかった問題に気づくことができたという感触を得ている。 しかし、民事執行法の立法作業が現在進行中であり、そのフォローが十分にできていない。もともとの研究計画では、もう少し立法論的検討を行いたかったところであったにもかかわらずそれが進んでいないので、やや遅れているといわざるをえない。
|
Strategy for Future Research Activity |
1つは、共有物分割訴訟の検討を深めて、なんとか平成30年度中に脱稿し、来年度には公表ということにしたい。 もう1つは、実体法研究者が民事執行法の立法に際して、実体法固有の観点からいかなる意見を出すことができるのかについて、問題状況を整理して、この研究課題のまとめのようなものとしたい。こちらも、なんとか平成30年度中に脱稿したい。
|
Causes of Carryover |
進捗状況の報告欄に記載したとおり、研究は進捗しており、予想以上の成果を得た部分があるが、全体としてはやや遅れており、それを反映して平成29年度の予算執行額も当初予定額に及ばず、平成30年度の執行を予定することとなった。
|