2017 Fiscal Year Research-status Report
第三者が占有・登記を有する又は取得すべき物の引渡請求権・登記請求権の強制執行
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16K03405
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 哲 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40313051)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 強制執行 / 第三者異議訴訟 / 意思表示義務の強制執行 / 財産開示 / 滞納処分 / 信託財産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、請求権の権利義務の主体または請求権を表示する債務名義の当事者以外の者を第三者として、第三者が占有する物の引渡請求権、第三者名義で登記されている不動産の登記請求権、第三者への引渡しを求める物の引渡請求権、第三者名義の登記を求める登記請求権の強制執行のあり方を明らかにすることを目的としている。 平成29年度の研究実施計画においては、第三者異議訴訟の諸問題や意思表示義務の強制執行について検討することを予定していたところ、コンメンタールに民事執行法の38条および174条の解説を執筆する過程において、第三者異議訴訟の原告が実現されるべき請求権と同じ内容の義務を負うことが、同訴訟における抗弁となるのかという問題を検討した。また、第三者の名義で登記された不動産における登記請求権の強制執行のあり方について検討をした。 そのほか、最判平成28年3月29日金法2054号54頁の評釈として、「固有財産を含む不動産の滞納固定資産税に基づく信託財産を含む不動産の賃料債権の差押え」を執筆し、信託の受託者が所有する信託財産に属する土地と固有財産に属する不動産の滞納固定資産税等に基づく滞納処分として、信託財産に属する土地と固有財産に属する家屋の賃貸借契約に基づく賃料債権に対して差押えがなされたのに対して、当該信託の受託者および受益者が、信託財産に対して滞納処分をすることはできないと主張して、差押処分の取消しを求めたという事案について検討をした。 また、金銭債権を実現するための強制執行について、金融機関に預けられている債務者の預金を探索するために、金融機関から債務者の預金に関する情報を取得する制度について検討をし、「金銭執行における預金債権に関する情報の取得について」の論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究実施計画においては、第三者異議訴訟や意思表示義務の強制執行について検討することを予定していたところ、民事執行法38条の解説と同法174条の解説を執筆する過程で、第三者異議訴訟の諸問題についての検討と、意思表示義務の強制執行における諸問題の検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の前半は、金融機関から債務者の預金債権に関する情報を取得する制度について、日本民事訴訟法学会のシンポジウムにおいて報告する予定である。また、引き続き、民事執行法38条および174条の解説の執筆を進め、完成させる予定である。 平成30年度の後半は、現在、民事執行法改正の議論がされているテーマの一つである子の引渡しの強制執行について、子が祖父母等の第三者に預けられている場合における執行手続のあり方について検討をする予定である。また、不動産を複数人が共有する場合における共有者による登記請求や、不動産が複数人の共有名義で登記されている場合における共有者に対する登記請求について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、年度内に発注済みの洋書の到着が遅れたこと、3月から4月にかけて刊行される和書が多いので、次年度分として発注することにしたことである。 当該助成金は、発注済みの洋書の支払および次年度分として発注することにした和書の購入に充てる。
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Research Products
(4 results)