2016 Fiscal Year Research-status Report
カストディ・チェインを通じた重層的株式保有を巡る法律問題の多面的研究
Project/Area Number |
16K03408
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 純子 九州大学, 法学研究院, 教授 (40267894)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 発行会社 / 証券管理・決済 / カストディ(アン) / 当事者間法律関係 / 準拠法 / 株主権の帰属 / コーポレート・ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、当初の研究計画に沿い、発行会社と実質株主の間に介在するカストディアンの決済を含む株式管理全般にわたる業務内容の多様化・多岐化に即した、株式保有そのものに係る法的構成を検討することに充てられた。時間的制約や治安悪化情報により、外国渡航を他用務との抱き合わせの2回と控えざるをえなかったが、内外の多くの有用な文献に接し、そこで得られた一応の知見を年度内に口頭報告および論稿にまとめることができた。口頭報告としては、平成28年10月7日に国立台湾大学で開催された'Creating a Legal and Regulatory Framework for Interconnections between Stock Exchanges: A Comparative Study of the UK and Taiwan'と題する国際学術集会において、また、同年12月16日にベルリン応用科学大学で開催された'Contemporary Pivotal Issues in Financial Markets Law and Company Law - Selected National, International, European and Comparative Views'と題する国際学術集会においてそれぞれまとめられ、それらからのフィードバックを得て、「多階層保有証券に関する一覚書-グローバル・カストディアンの視点から-」と題する小論稿が、平成28年12月に刊行された九州大学法学研究院紀要「法政研究」第83巻第3号に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内外において成果の一部を公表することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画によれば、平成29年度は、多階層に亘る株式保有・決済に関わる法律関係を整理しつつ、法律関係の個別化・単一化等の試みを経て、それらの連結点を探り、従来唱えられてきた準拠法の決定基準(PRIMA)の妥当性を検討することに充てられる。平成30年度は、株式保有の末端に位置づけられる、株主名簿上に現れない外国人実質株主の権利行使の在り方につき、発行会社のガバナンス改善への貢献という観点から、再検討する。平成31年度は、チェイン保有とポートフォリオ価値との関係に関する定性分析を踏まえた、外国人投資家活用法理論の構築に充てられる。平成31年度の定性分析に関しては、多くのサンプルを要することが想定されるため、次年度以降も外国渡航を通じて精力的にサンプル収集に努める。同時に、今年度収集できなかった資料等の検索・入手に努め、とくに大学の長期休業期間を利用して収集した情報・資料等の整理・分析、および、知見のまとめを行い、最終的な研究成果へと繋げていく。
|
Causes of Carryover |
購入予定であった洋書の納品時期が遅れ、年度内に間に合わなかったことなどにより、未使用額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は翌年度分と合算して洋書等の購入に充てる予定である。
|
Research Products
(9 results)