2016 Fiscal Year Research-status Report
認知症患者の医療同意と財産権保護における本人自己決定のための法的枠組みの研究
Project/Area Number |
16K03409
|
Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
澁谷 彰久 山梨県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40550463)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 認知症と意思決定 / 成年後見法制度 / 信託制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究実績 平成28年度の研究実績は、(1)認知症看護・介護における意思決定の調査と(2)専門職連携モデルの策定を行った。 (1)認知症看護・介護における意思決定の調査:地域における認知症患者の意思決定の実態把握のため、看護実践開発研究センター認知症看護認定看護師教育課程の協力を得て、認知症高齢者などの具体的なニーズや問題点を把握できた。また、県内の弁護士・司法書士などの法律専門職や地域NPO法人への聞き取り調査を行った。 (2)医療同意と財産管理に関する専門職連携モデルの策定と法的分析 医療現場での家族同意についての基礎調査を行った。また、医療現場での判断基準と同意の違法性阻却事由について分析と、本人の意思決定についての法的問題点を実務面と理論面から検証した。財産管理における本人の意思能力減少の場面ごとにより、代行権限の法的性格を比較検討した。代行者の定義、本人との利益相反関係、同意権の射程を検討した。医療行為の同意と財産管理権としての法律行為との違いを本人の意思決定のためのいくつかの支援モデル案を策定するため、国際比較、後見制度の改正などの動きをフォローした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した項目につき、海外の制度比較と整理を除き概ね順調に推移した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究内容は、今までのドイツにおける「世話人」制度の調査から、わが国の成年後見利用促進基本計画の動向を比較検証する。また、第4回成年後見法世界会議の成果を分析し、アジアにおける制度調査や医療同意と意思決定支援モデルの調査を行う予定である。国内の研究者、実務家の協力を得て、金融機関、医療機関、弁護士協会および支援NPO法人などへの聞き取り調査を行い、現状と課題を明らかにする。 日本モデルとの比較検討については、各国における医療同意と財産管理についていかなる示唆が得られるのかについて多角的に検討する。調査結果をもとに、医療機関、支援関係機関、地域金融機関などの担当者を交えた議論を経て、より実効性の高い結論を導き、今後の地域における意思決定支援の実践に活かせるよう研究を進める。
|
Causes of Carryover |
予定していた認知症等の意思決定に関する国際比較調査を翌年度へ延期したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度中には調査研究(アジア地域)を実施する予定。
|