2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative research on bankruptcy asset sales outside of the plan
Project/Area Number |
16K03411
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
工藤 敏隆 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (50595478)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民事法学 / 倒産法 / 再建型倒産処理手続 / 事業譲渡 / アメリカ連邦倒産法 |
Outline of Annual Research Achievements |
民事再生における計画外事業譲渡の実体的許可要件(民再42 条1項後段)について、多数説は「必要性」要件と「相当性」要件で構成されると解している。「相当性」要件については、計画内事業譲渡や、事業譲渡以外のスキームも含めた「スポンサーの選定基準」として精緻に具体化されているのに対し、「必要性」要件についての議論は必ずしも活発ではなく、その位置づけや具体的考慮要素は明確にされていなかった。 本研究は、アメリカ連邦倒産法の再建(第11章)手続における計画外事業譲渡(363セール)について、実体的要件に関する判例理論である「正当な事業上の基準」や「隠れた再建計画の法理」のリーディング・ケースとなった判例や、その後の裁判例が提示した具体的考慮要素に関する分析を行い、民事再生における「必要性」要件の深化のための示唆を得た。第11章手続が民事再生と異なる点として、再建計画の対象に担保権者や株主も含まれ、債権者の組分けの制度が存在することや、手続申立前に再建計画案の投票を行うことを可能とする「プレパッケージ」型手続が可能であることから、事業譲渡を計画内で行うべき要請や、迅速に計画内事業譲渡を完結できる可能性は一般的に高いといえる。しかし、事業譲渡の対価などの譲渡契約の内容は、債権者等の利害に関わる重大な問題であり、事業再建の基本的な枠組を決定するものであるため、本来であれば計画内事業譲渡が望ましい点は、程度の差こそあれ民事再生においても同様と考えられる。 したがって、民事再生法における実体的要件のうち、特に「必要性」要件の再検討を行い、その具体的考慮要素として、GM事件判決(ニューヨーク州南部地区連邦倒産裁判所、2009年)が掲げた、財産価値の急速な低下、債務者の資金流動性の喪失、自主再建や計画内事業譲渡の可能性の不存在を考慮要素に加えるべきことを提案した。
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