2018 Fiscal Year Annual Research Report
Globalization of contract law and reform of civil law in Southeast Asia.
Project/Area Number |
16K03417
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
野澤 正充 立教大学, 法務研究科, 教授 (80237841)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民法改正 / 契約法のグローバル化 / 債権法改正 / 契約不適合責任 / 瑕疵担保責任 / ラオス民法典 / フランス債務法改正 / 危険負担 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、契約法のグローバル化を背景に、各国の民法(債権関係)の改正状況を踏まえ、その内容を詳細に比較検討することにより、日本民法(債権関係)の改正の意義とその比較法的位置づけを明らかにすることを目的としている。とりわけ、本研究では、日本の民法改正における重要論点である、瑕疵担保責任から契約不適合責任への移行を中心的論点として想定していた。そして、その観点からは、改正法の創設した契約不適合責任は、従来の瑕疵担保責任をめぐる法定責任説と債務不履行責任説の対立を止揚するとともに、売主の担保責任の構造をシンプルにし、かつ、より実効性のあるものとする点で、高く評価されることを、本研究の全体を通じて明らかにした。 ところで、最終年度である2018年12月8日、研究代表者の関与するラオス民法典が成立した。このラオス民法典編纂の意義について、2019年2月、研究代表者は、ビエンチャンでの基調講演において、次のように指摘した。まず,技術的には、先行する個別制定法の間および個々の規定の間の矛盾をなくし、類似した条文を整理し、規定内容を明確にすることにより、法律を実効的なものとする。また、政治的にも、民法において国際標準を達成することにより,国際社会の信頼を得ることができる。そして、そもそも民法典をはじめとするラオスでの法典の整備は、1986年以降,隣国ベトナムのドイモイ政策などに触発されて,自由主義経済システムを導入したことに伴うものであった。その意味では、社会主義国における自由主義経済システムの導入に伴う、新しい規範を求める要請に応じるという社会的意義が大きい。そして、このラオス民法典は、ベトナム、タイなどの近隣諸国との比較法の成果であることはもちろんである。 研究代表者の今後の研究は、以上の東南アジアでの成果を踏まえ、原点に回帰し、法改正を契機とした日仏の民法理論の変容を探求するものである。
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Research Products
(4 results)