2016 Fiscal Year Research-status Report
非財務情報の開示と統合報告に関する法規制の研究-開示情報の信頼性の確保を中心にー
Project/Area Number |
16K03420
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川島 いづみ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50177672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非財務情報の開示 / 統合報告 / コーポレートガバナンス・コード |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画通り、2つの計画を並行して進めてきた。1つ目は、イギリス法について関連文献を収集して、非財務情報の開示規制とコーポレートガバナンス・コード(以下CGコード)の沿革・相互関係等を研究することであるが、関連文献を収集・検討し、イギリスでは、CGコード(かつての統合コード)の実効性を確保する手段として、取締役報告書の開示が重要な役割を果たしていることを、buisness reviewが取締役報告書の記載事項となった経緯等から確認した。1つ目の課題との関係で、予定外であったのは、2016年秋に、イギリスの監督官庁(BEIS)からコーポレート・ガバナンスの改革に関する緑書が公表され、FRCの意見書が2017年2月に公表される、という事態が生じたことである。これは、定例的なCGコードの改訂とは異なるものであり、関連する資料の収集・調査等を併せて進めている。なお、3月18日開催のシンポジウム(コーポレートガバナンス・コードと会社法制/早稲田大学比較法研究所主催・先端社会科学研究所等共催)において、「イギリスのCGコードと会社法」の報告を担当した。 計画の2つ目は、これまであまり研究実績のない南アフリカ法について、関連法規等の収集を進め、関連知識の習得に努めることである。こちらも、会社法関係法規に限らず、関連する会計学の日本語文献等を収集・調査している。また、2016年11月に「KING IV」と呼ばれる南アフリカの改訂CGコードが策定されており、その内容の検討も進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリスにおけるこれまでのCGコードと会社法上の取締役報告書(現在は戦略報告書)による開示との関係性を、沿革にも遡っておおむね理解することができたといえる。他方、南アフリカ法については、一応の知識を得られたものの、改訂コードの内容を含めて未だ十分な理解が得られたとはいえない状況にある。国内で入手しうる文献等は、やはり少ないのが実情であるが、ネット上で法文等の入手は可能なので、引き続き研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年夏には、イギリスでの調査を予定しており、会社法の所轄官庁であるBEISや、CGコードの策定主体であるFRC(財務報告評議会)等での聴取り調査と文献収集、研究者との意見交換などを予定している。ロンドン大学高等法学研究所の図書館には、南アフリカ法関係の文献もある程度整備されているので、ここでの文献調査・収集も有意義であると考えられる。イギリス現地での調査を基礎に、検討・分析を進め、研究論文の作成作業を進展させる予定である。
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