2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-sectional study of domestic violence in family law
Project/Area Number |
16K03427
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 亮子 関西学院大学, 法学部, 教授 (50293444)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家族法 / 離婚 / 監護 / 親権 / DV / ドメスティック・バイオレンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はDVの複合的構造と多機関連携による保護について、研究会、学会等で調査を行い、文献による研究を行った。DVには加害者と被害者との垂直関係だけではなく、子を巻き込み複雑な態様があることが明らかとなった。保護に関しては、児童虐待とは異なりDV事件は本人の意思に委ねられるため機関による支援が継続しないという問題があること、子がDVや虐待等で施設入所され親権の事実上の制限が行われているとき、児童相談所が法定代理についてどのように対応しているか、また親権制限時の未成年後見の申立てに消極的である理由について調査を行った。 研究期間全体を通して、フィールド調査として米国ワシントンDCでDV裁判傍聴を行い、ヴァージニア州のディテンションセンター等施設を訪問して受刑者と家族との関わりを調査し、アメリカン大学ロースクールで複数の研究者と家族のプライバシー、ジェンダー、社会構造とDV等について議論を行った。滋賀県、大阪府の児童相談所、女性相談所を訪問し、児童虐待、DVに関する行政の取り組みについて調査を行った。警察・児童相談所・女性相談所等の多機関連携についての研究会、シンポジウムに参加し、報告、議論を行った。犯罪・社会学の見地からDVの原因、影響、支援について複数の学会・研究会で調査した。家族法分野の学会・研究会において、親子の交流や親権、ハーグ子奪取条約について調査、報告、議論を行った。文献調査として、法学のみならず社会学、臨床心理学、犯罪学、実態報告書等の欧文・和文の書籍、論文の調査、家族法に関する日米の裁判例、ハーグ子奪取条約に関する日本、諸外国の裁判例の調査を行った。 以上の研究活動を通して研究期間中、論文等11編(図書掲載論文含む)を著し、シンポジウム報告1件、研究会報告1件、学会報告1件にて、法的課題、裁判実務の問題点、機関対応の開発余地の点等を明らかにした。
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