2018 Fiscal Year Annual Research Report
Law and Psychological Reconstruction of the Theory of Damage for Realization of Visualization of damage from a Point of View of Restorative Justice
Project/Area Number |
16K03428
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松本 克美 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40309084)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 損害論 / 時効論 / 修復的正義 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題である修復的正義の観点からの<損害の可視化>との関連で、長期間潜在化した被害が顕在化したことにより損害賠償請求権の権利行使が可能になり権利行使をしたところ、損害賠償義務者から消滅時効を援用されるという<時の壁>の問題をどう考えるかが重要となる。時効法については、改正民法により新たに導入された時効の完成猶予事由としての協議を行う旨の合意(交渉)の意義について、ドイツ法との比較法的検討を行った。また、改正民法後も問題となりうる不法行為による潜在的被害の損害賠償請求権の消滅時効起算点について、従来の私見を更に深める研究を発表した(「不法行為による潜在型損害の長期消滅時効の起算点―民法724条の『不法行為の時』と『損害の性質』論」立命館法学378号、2018年)。また、ドイツの代表的な民法典コンメンタールであるミュンヘン・コンメンタールの時効部分を執筆しているベルリン自由大学法学部のヘルムート・グローデ(Helmut Grothe)教授に面会し、2002年及び2013年のドイツ時効法改革の意義と背景、残された課題について意見交換を行うことができた(2019年1月30日)。韓国での時効法改革論議については、改正民法委員会で時効法分科会の委員長を務めたソン・ドクス教授を訪ね、韓国時効法改革案の意義と課題について貴重な話を聞くことができた(2019年3月27日)。 潜在的被害の1種である建築瑕疵責任をめぐっては、改正民法で導入された「契約内容不適合責任」と従来の「瑕疵担保責任」との異同について理論と実務の最先端の状況を整理し、特に瑕疵修補に代わる損害賠償請求権の成立要件について、諸学説を整理し、私見を公表した。
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Research Products
(10 results)