2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03437
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯島 祥彦 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (50584679)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨床倫理 / 職業倫理 / 医事法 / インフォームドコンセント / 規制手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療現場の臨床倫理問題への制度的対応として、法、ガイドライン、倫理委員会の審査を検討の対象として取り上げ、臨床倫理問題が生じるケースとして、終末期における延命治療の中止・差控え、宗教的信条からの輸血の拒否,、生体臓器移植を調査の対象として、各種法令、内外の文献、実務の趨勢、学会レベルの議論などを調査し、この問題に関与する制度的対応が備えなければならない適合性条件について明らかにした。臨床倫理問題を規制する制度的対応は、患者と医師が協働して最善の治療を探求するものでなければならず、どうしても両者の対立関係が解消できないときには、透明性のある公正な決定手続を提示するものでなければならない。また、臨床倫理問題を私的な問題ではなく、医療に係る利害関係者が関わる議論によって解決すべき公共的問題と捉えなおし、患者と医師が協働して治療方針を決定できる環境を整え、医療の受益者である患者が最大限の利益を享受できる医療供給制度の一端を担う公共的決定を担うものでなければならない。以上の検討から、法やガイドラインなどの制度的対応の適合性条件とは以下の3点となる。すなわち、①患者と医師の協働する関係を構築するために適合的な環境を作出すること、②そのために一義化した行為指針および手続を定式化していること、③医療に関わる多様な利害関係を調整できるものでなければならないこと、である。本検討の成果は、飯島祥彦『医療における的決定』信山社(2016)にて公表している。 上記の検討による成果を前提に、制度が備えるべき適合性条件をさらに明確にするために、医療および法の各専門家を対象に質問紙調査を計画した。まず、愛知県下法曹、病院、介護老人保健施設を対象に質問紙調査を行い、解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床倫理問題に関する制度に求められる適合性条件についての検討は、概ね完了している。制度が備えるべき適合性条件をさらに明確にすることを目的とする質問紙調査を実施するにあたっては、調査対象の選定に課題が生じて予定より4ヶ月調査の開始が遅れが生じたものの、愛知県下の調査対象への質問紙の郵送は完了し、回収した調査資料の解析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに調査対象に老人保健施設を加える。調査の回答率が当初の想定よりやや低いので、対象地域を全国に拡大し、調査数を当初予定した計700機関から、約2500機関に増やす。主要国の医療職に対する調査を立案する。
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