2016 Fiscal Year Research-status Report
ハンセン病隔離政策廃止後における人権保障ー日諾関連法制等に関する調査研究
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16K03441
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 静 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (80335885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 英夫 金沢大学, 国際基幹教育院, 特任教授 (40114011)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 患者の人権 / ハンセン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度として、国内に存するハンセン病療養所調査を精力的に行い、これまでの経緯と現状及び課題の把握に努めた。2016年4月には、最高裁判所が「特別法廷」問題に関して調査報告を公表したため、国内外の議論状況を整理するとともに、隔離政策中および隔離政策廃止後の社会における諸課題に着目した。井上は、最高裁判所の「特別法廷」問題に関する調査報告の意義と課題について、論文として公表した。また、11月には「特別法廷」問題を契機にしての学会報告を行った。 2016年5月には、韓国小鹿島病院で行われた国際シンポジウムに鈴木、井上が参加した。とりわけアジア圏のハンセン病医療史とハンセン病療養所に関する歴史につき報告を聞き、日本との相違点を整理した。法律学的な観点からの政策分析は重要であり、時代変遷と国内法及び国際的動向に着目しつつ、整理と続けている。今後も韓国調査を継続する予定である。 ノルウェーにおける患者の人権保障に関する研究成果については、鈴木が日本社会福祉学会全国大会等で学会報告を行い、20世紀前半におけるノルウェーの人権保障の在り方と運用に着目して考察を行った。また、同国のハンセン病資料保存についても着目し、日本との比較を行う研究会報告を行った。報告に関し、社会学等からの指摘を受けたことを生かし、今後の考察を深めていく。初年度は、申請時の研究計画に基づき、順調に進んでおり、今後も継続的に調査研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に基づき、資料収集及び調査が順調に進んでいる。韓国調査を実施し、5月に開催された国際研究集会に参加し、あわせて韓国私立ハンセン病療養所訪問を行った。国内では青森、群馬、東京、岡山にあるハンセン病療養所とともに、医療関係機関等で資料収集を行った。 統括と分担者にて役割分担をし、それぞれの役割に応じて調査を行い共同で成果公表を行った。11月には学会報告を行い、日本国憲法下でのハンセン病を理由にした「特別法廷」開廷問題につき、これまでの調査を踏まえ報告し、議論を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に基づいて研究を行う予定である。2017年度には国内でハンセン病シンポジウムが開かれる予定であり(4月23日)、参加するとともに海外諸国のハンセン病関連の資料保存と活用についても整理する予定である。これらは申請時の計画に沿うものであり、さらに法学的な視点からハンセン病医療政策を考察していく予定である。
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Causes of Carryover |
ノルウェー調査を予定していたが、先方の都合で延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度6月に、ノルウェー調査を実施する予定である。現在、実施できる見込みであり、準備を重ねている。
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