2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K03449
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上野 達弘 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80338574)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 著作物の類似性 / 著作権侵害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、わが国における議論の検討はもちろんのこと、ドイツおよびイギリスといった外国法における議論および裁判例の分析を継続しつつ、米国における議論および裁判例の検討を開始するという計画に基づいて、文献やデータベース等を駆使して広範にわたる様々な調査を進めてきた。 その過程で、本研究課題の中心的なテーマの一つである著作物の類似性判断において著作物の著名性がどのような意味を持つかということに関して、ドイツでも最近議論があり、特に、「Verwechslungsgefahr im Urheberrecht」(著作権法における混同のおそれ)というタイトルで、ヨーロッパの比較法を行っている書籍が2017年に出版され、これをもとに議論されていることを知るに至った。こうした動向は、本研究課題と同様の問題提起のもとに展開されているものであり、研究代表者(上野)にとっても、非常に有益な考察を行うことができたと考えている。また、これは本研究課題が国際的にも共通したものであることの証であるとも考えている。 そのほか、本年度は、2018年9月に、国際著作権法学会であるALAIのモントリオール大会において著作権紛争に関する比較法的観点からの研究報告を行ったほか、2018年12月に、韓国政府および韓国著作権委員会の招聘によりソウルにおける日韓著作権セミナーにおいても最近のわが国における著作権問題について招待講演を行うなど、国外における研究活動を展開するほか、国内における国際シンポジウムでも研究報告を行うなど、国際的な研究活動にも力を入れ、それぞれ大きな成果があったと考えている。国内活動としても、雑誌論文や書籍、あるいは学会等において多数の研究成果を公表できたほか、隣接分野である国際経済法学会になどで研究報告を行う機会を得たことも本研究にとって大変有益であったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までにおける本研究課題は、比較法の対象をドイツ、米国、イギリスに広げているところ、そこにおける議論および裁判例は膨大なものがあり、現時点では網羅的検討を終えたとは言えないものの、それらの外国法における議論を概ね把握することができたほか、ドイツにおける新しい研究に接することもできたことから、概ね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、2019年度に最終年度を迎えると共に、国際共同研究加速基金の本格実施と共に、その比較法的検討を加速度的に深めることが予定されているところ、研究代表者は、2019年3月よりミュンヘン大学に滞在しつつ、国際的な学会に多数参加することによって、本研究課題の検討をこれまでになく充実させていく所存である。なお、現時点で課題等は特に見当たらない。
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Causes of Carryover |
本年度は予定していた消耗品購入が少なめに抑えられたため若干の残額が生じたものの、次年度はその分の消耗品を購入する必要が生じると考えられるため翌年分として請求するものである。
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