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2019 Fiscal Year Research-status Report

公共政策の刷新と政府間関係の比較研究―タバコ規制政策を事例として

Research Project

Project/Area Number 16K03457
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

山崎 幹根  北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (30295373)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
Keywords公共政策 / 政府間関係 / タバコ規制政策 / イギリス / スコットランド / 条例 / 地方自治体
Outline of Annual Research Achievements

スコットランドにおける公共空間での禁煙規制法施行10年を検証した調査によれば、喫煙者を含む87%の成人が法規制を支持しており、受動喫煙防止政策が定着したことが認識できる。また、小児喘息、心臓疾患、受動喫煙被害の低下が見られるとともに、喫煙が公共空間から自宅へと移動した形跡は見られないとの調査結果が明らかになった。
このような成果が明らかにされる一方、近年では肥満防止などの観点から食品の規制にも関心が広がりつつあるが、タバコと同様の規制政策が執行されているわけではない。こうした相違に関して、先行研究では、政策課題の枠付け(framing)、政策環境の相違、政策の窓(windows of opportunity)の観点から、比較研究が行われ、世界レベルでの関心の高まりの程度と問題の認知のされ方、社会経済要因、政策アクターのネットワーク、規制を推進する組織、アイデアの諸要素が、政策転換の有無に作用していることが指摘されている。
なお、スコットランドでは2018年に、アルコール最低価格販売に関する法律が施行され1年が経過し、政策の効果が検証されている。酒類販売業界への影響を検証した調査によれば、利益、売上、雇用への実質的な変化を及ぼすには至っていない。
日本では、国による健康増進法の改正に伴い、全国レベルでの規制政策が実施され、規制水準が画一化される一方で、先進自治体による政策内容の再分化の現象が昨年度に引き続き、秋田県、兵庫県など、各県で観察された。こうした背景を明らかにするためにも、イギリスの研究で考察されている政策環境の中で政策を多様化させている要因に注目しつつ、さらなる分析を行う必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度は、先ず、イギリスにおける先行研究の把握に努め、近年では肥満防止などの観点から食品の規制にも関心が広がりつつある一方で、タバコと同様の規制政策が執行されているわけではない現状が明らかになった。一方、日本においても、国による健康増進法の改正によって、全国レベルで規制政策の内容が画一化する一方で、幾つかの府県および市町村で独自条例を制定する動向が見られ、昨年に引き続き、政策の再分化が確認された。
以上のような、イギリスにおけるタバコ規制政策と食品規制政策の相違、日本における受動喫煙防止政策の自治体間の相違を分析し、こうした背景を説明するために、政策課題の枠付け、政策環境、政策の窓、特に政策環境の諸要因に注目することの重要性を確認し、より緻密な比較研究を行う必要性が明らかになった。また、今後の研究上の課題として、日英で顕著な相違を示している現象として、日本では自主規制を主要な政策執行手法として位置付け、罰則等強制力の行使を回避する傾向が存在することから、今後、公共政策の対象者の自発的同意を得ることによって政策目的を達成する手法の妥当性について、比較分析を行う必要がある。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究計画の変更あるいは研究遂行上の課題等に関して、特記すべきことはない。

Causes of Carryover

今年度の研究においては、経費を効率的に執行することができたこと、コロナウイルス感染症のリスク回避のために海外調査を見送ったこと等から残額が生じた。
次年度は、イギリス政府が2020年1月、同年12月末までのEUからの脱退を正式に決定したことに伴い、こうした動向は、本研究が考察するイギリスの政府間関係および公共政策に対して極めて大きな影響を与えることから、EU離脱に伴う法令改正や、イギリス政府とスコットランド政府との政治的対立の動向に関する調査を行うために執行する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 市役所と地方議会に行ってみよう―地方自治の理念と現実2019

    • Author(s)
      山崎幹根
    • Journal Title

      永井史男・水島治郎・品田裕【編著】『学問へのファーストステップ① 政治学入門』(ミネルヴァ書房)

      Volume: ―― Pages: 204―232

  • [Journal Article] 〈イギリス①〉スコットランドの独立運動とイギリス政治のゆくえ2019

    • Author(s)
      山崎幹根
    • Journal Title

      奥野良知【編著】『地域から国民国家を問い直す スコットランド、カタルーニャ、ウイグル、琉球・沖縄などを事例として』(明石書店)

      Volume: ―― Pages: 23―47

URL: 

Published: 2021-01-27  

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