2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03459
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 徹 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60431300)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 野党 / 政党間競合 / 選挙 / 動員戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の計画通りオポジションの競争次元及び議会での政策形成の次元を対象に、それまでに特定した政治的オポジションの選挙パフォーマンスとアウトプットのデータ収集と、政策形成に実際に関与する政治的オポジションを特定する作業を中心的に行った。 とりわけ競争次元においては2017年度に行われたオランダ、フランス、オーストリア、ドイツ、イタリア各国の選挙をケースとして考察し、そのため分析の情報収集に中心に補助金を支出した。これら一連の研究は、日本政治学会2017年度研究大会・総会「EU統合への「信頼性」の揺らぎ――ポピュリズムと欧州政治の動態」(分科会C6)での報告「EUはいかに信頼せれずに至ったか――2017年フランス大統領選から」、また「フランスにおけるポピュリズムとその含意――<アノマリー>の連鎖と帰結」日本国際問題研究所「『自由で開かれた国際秩序』の強靭性―米国、中国、欧州をめぐる情勢とインパクト」事業サブプロジェクトⅢ「混迷する欧州と国際秩序」研究会報告などに結実している。 また、研究課題で掲げている統一的な理論枠組みに関するものとしては、具体的には「選挙と分極化の中のアメリカ政党」(『レヴァイアサン』第61号)において、昨年度からの研究課題であるオポジションの組織的次元と動員戦略についての考察を行い、さらに分析対象を変えて組織的次元と競争的次元とを統合して分析視角を展開した「フランス国民戦線の変容」(『国際問題』no.660)を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題における主要3つの分析次元(組織、競争、議会)の最初の2つの次元における検討を進めることができた。また、H30年度に開始予定だった海外研究者との共同作業を前倒しで実現することができた。他方ではH29年度に開始するとしたオポジションの議会次元については、分析対象各国での政権発足の遅れといった外在的な要因から情報や関連事例の収集に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度では、院内での政策形成過程を視野に入れて政治的オポジションの形成や機能を分析することを目標としているが、議会資料等での情報の整備が不完全であることも多く、また連立政権の形式などによって統一的な解釈が難しいケースも散見される。そのため、議会でのオポジション形成に留まらず、オポジションの競争的次元が院内においてどのように再現されるのかといった視点を加え、一般的データからの分析によって政治的オポジションの統合的把握に努めることとする。 また、引き続き細かな事例については専門の海外研究者の協力を仰ぐこととし、そのための協力費の支出を本年度には予定する。
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Causes of Carryover |
H29年度において、各国にまたがる形で図書を発注し、中には歴史的資料が含まれていたこともあり、購入と納入が翌年度にずれ込む形となり、研究費に若干の余剰が生じた。 この研究費の余剰については、H30年度に納入が済み次第、その支払いに充当されることになる。
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