2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Constructivist Institutionalist Analysis of Agricultural Policymaking Process in Japan
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16K03460
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々田 博教 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90551101)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農業政策 / 政策発展過程 / 政策の起源 / 官僚制度 / 構成主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、前半に資料収集・データ分析などを行いつつ、本研究の成果を基にした単著執筆を主に行った。また比較政治学会と日本政治学会に参加し、情報収集を行った。特に日本政治学会においては、農業政策をテーマとした分科会「農業貿易政策の政治過程分析:日本と韓国の事例を通じて」の司会・討論者を務めた(2018年10月13日)。これらの学会においては、様々な有益な情報・研究成果に触れることができ、本研究にも大いに参考になった。11月には、勁草書房から単著を出版した。佐々田博教『農業保護政策の起源:近代日本農政の発展 1874~1945』勁草書房, 2018年. 同書においては、明治前期から戦時期にかけての日本農政の政策過程を分析し、戦前日本において農業保護政策が導入されたメカニズムについて、農林官僚の政策アイディアや社会構築に注目した構造主義的な農政論を提示した。通説にあるように農業保護政策は利益誘導体制が生み出したものではなく、明治・大正期の農林官僚が構築した「小農論」によって生み出されたものであるという主張を展開した。同書の書評は、日本経済新聞の「この一冊」で取り上げられた(2019年2月9日)。同じく熊本日日新聞や沖縄タイムスなどにも同書の書評が掲載された。同書においては、日本の農業保護政策の起源は、戦前の農林官僚の政策アイディアにあると指摘し、通説で主張されているように利益誘導行為の結果生まれたものではないということを明らかにした。また官僚の行動決定要因として、彼らの政策アイディアや社会構築が非常に重要なファクターであることを指摘し、従来の官僚制度研究とは異なる新しい視点を提示した。
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