2016 Fiscal Year Research-status Report
異なった種類の選挙において候補者要因が投票行動に及ぼす影響
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16K03464
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡田 浩 金沢大学, 法学系, 教授 (60272019)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 候補者 / 参議院選挙 / 投票行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、金沢市の有権者約36万人の中から無作為抽出した3000人の方々を対象とする郵送法による意識調査を平成28年7月の参議院選挙後に行った(回収数1028、回収率34.3%)。 この調査においては、各候補者についての認知度、イメージ(自由記述式及び選択式)、及び好感度についての設問を設けて、本研究の焦点である有権者の候補者についての意識を調査した。また、その説明変数や被説明変数にあたる有権者の投票行動、属性、意識、メディア接触、候補者との接点、団体加入等もあわせて調査した。 現在、調査データの分析を進めつつあるが、たとえば、候補者イメージについて自由記述式で尋ねた設問からは、性別や地元出身か否かや政党との関係など候補者間の差異に着目して候補者を捉える回答者が多いこと、また、新人候補については政党との関係や立候補前の職業についての言及が多いのに対して、現職候補については人柄についての言及が多いなど、新人か現職かで捉え方が異なることなどが明らかになった。 候補者との接点に関する設問からは、現職に比べて新人は当然ながら有権者との接点が少ないが、それでも、テレビや街頭演説といったいわゆる「空中戦型」の選挙運動、あるいはインターネットについては、比較的、新人と現職で差が少ないことなどが明らかになった。 以上のように、これまでの先行研究ではみられなかった、あるいはほとんどみられなかった設問や選択肢を用いた調査を行うことによって、有権者の候補者についての意識や接点等に関する種々の新しい知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施した3000人を対象とする大規模な意識調査によって、本研究の焦点である有権者の候補者についての意識に関する貴重なデータが得られ、また、その分析によって種々の新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今回の意識調査の対象となった選挙の候補者の経歴や選挙公報や政見放送等のデータを収集し、意識調査のデータとあわせた分析を行うことによって、有権者の候補者についての意識の形成要因について、有権者側の要因と候補者側の要因の双方から明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度に行った意識調査について、回収数不足の懸念から当初予定していた2000人ではなく3000人に調査対象者を増やしたため、回収票の受取人払いの郵便費用がかさむと当初の予算を超える危険性があったために平成29年度分を前倒し支払い請求した。しかし、結果的にはそれほど回収票の数が伸びなかったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前倒し支払い請求前に予定していた、関連する文献の購入等に充てたい。
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