2016 Fiscal Year Research-status Report
政府活動を多角的に検証するための文書管理の総合的研究
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16K03476
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
魚住 弘久 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部, 教授 (60305894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大黒 太郎 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (20332546)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文書管理 / 震災関係文書 / 政府活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一年目にあたる平成28年度は、文書管理についての資料収集を広く行いつつメンバー間で共通認識を深めると同時に、本研究の3つの柱のうちの2つである(1)政府内(特に基礎自治体)の文書管理の実態と(2)東日本大震災(原発事故)をめぐる政府外の文書管理について調査・研究を進めた。本年度の研究実績は次のようである。 1.(1)について、実態調査を行うにあたっての事前調査を北海道文書館等で実施するなどし、そこでの知見・人脈を生かしつつ4つの文書館で聴き取り調査を行った。 2.(2)について、東日本大震災(原発事故)での「避難」に関する文書と、「復興」に関する文書について、散逸を防ぎつつ網羅的に資料の収集を行い、パソコンへのデータ入力をはじめた。この作業と並行して神戸大学震災文庫等で震災対応資料についての文書整理の方向性についてアドバイスを受けるなどした。 3.以上の調査は可能な限りメンバー全員で行い、適宜、研究の方向性について検討したほか、研究成果として「熊本地震と南阿蘇鉄道ー自然災害からの交通インフラ復旧の視点と課題ー」(『熊本法学』第138号)と「熊本地震を通してみた交通インフラ復旧の課題ー南阿蘇鉄道を手掛かりに』(『都市問題』第108巻第3号)を発表した。これらの論考は、研究代表者が2016年4月16日の本震を中心とする熊本地震で被災者となり、現地で持った問題意識から執筆したものである。本研究課題との関係で言えば、震災に関する政府機関の文書を多角的に用いつつ(その管理状況を確認しつつ)、政府活動について考察したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では8つの基礎自治体の文書館で調査を行う予定であったが、4月の熊本地震で研究代表者自身が被災者となり、震災からの日常生活の回復や勤務先での震災にかかわる業務日程の変更など、予期せぬことが続いたため、研究を予定通りに進めることができなかった。ただし、分担者によって福島で行われている(2)については順調に進んでおり、全量調査を行い、目録作りを開始するところまでできた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に若干の遅れが見られることから、本年度は(1)の文書館調査を積極的に進め、研究の遅れを少しでも取り戻したい。また(2)については、目録作りを完了させると同時に、新たな資料収集にも努めていく。この作業を進めるにあたっては、中越地震の資料整理を行った長岡市中央図書館文書資料室で調査を行うことも考えたい。
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Causes of Carryover |
実態調査等の一部を次年度以降に行うにしたため、旅費等で未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基礎自治体の文書管理に関する様々な文書館での実態調査の旅費等に使用する。
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