2017 Fiscal Year Research-status Report
政権維持と組織存続のための帰責処理:危機対応における更迭と組織改編の研究
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16K03482
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
手塚 洋輔 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60376671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 更迭 / 行政組織 / 帰責 / リスク / 非難回避 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,さまざまな問題に直面した政府が,政権の維持及び各行政機関の組織存続を企図する中で行う,更迭(人事面)や組織再編(組織面)などの帰責処理に着目してそのダイナミズムを探究し,ひいては統治の有り様の変容を考察しようとするものである。 第2年度となる平成29年度は,第1に,前年度に引き続き関連研究の文献調査及びその分析を進めた。もっとも,これについては,本研究課題の先行課題でもある事後検証機関に関する研究課題(若手研究B)の関心とも当然に重なり合うところもあったので,その成果を参照しつつ進めることができた。またその一部については,2017年度日本政治学会・分科会C--2〈行政のリスク対応〉(2017年9月24日,法政大学)において研究報告を行った。 第2として,更迭及び組織再編の事例を発掘するべく,これまで研究代表者が行ってきた更迭研究で構築したデータの再整理を行うとともに,2001年以降の組織再編について基礎的な調査を進めた。これらの成果は,現在出版を準備している書籍に反映させる予定である。ただし,最近になって,政権を取りまく不祥事案が続発していることから,現在進行形で進展している状況を片目で見ながらの作業となっている。 第3に,内閣や省庁レベルにおける更迭や組織再編との関係からも,政権中枢に関与したアクターのオーラル・ヒストリーを読み直す作業を行った。これに関連して,後藤田正晴オーラル・ヒストリーを再読する研究会で進行を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
戦争調査会に関する最近の研究に触発されて,その資料に目配りするなどしたこともあって,事後検証に関する書籍化作業に思いのほか,時間がかかっている。そのため,更迭に関する事例の調査分析そのものは予定をやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主要テーマである更迭に関しては,もちろんここ1年あまりの安倍政権をとりまく不祥事案とその危機管理の様相は興味深い事例となっている。この点についても,事態を注視しつつ,研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度の調査対象に関しては,幸いにして,電子情報としてインターネットを介して入手できたものも多く,複写費等で予定を下回ったことが大きい。それについては,次年度に研究を進める際の旅費等の財源として活用していきたい。
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