2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Idea of Social Science of R. M. MacIver
Project/Area Number |
16K03483
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
苅田 真司 國學院大學, 法学部, 教授 (30251458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マッキーヴァー / 因果性 / 社会科学 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、依然としてコロナ感染症の影響が大きく、予定していた海外調査が困難であったため、研究計画を修正し、国内において入手可能な資料に基づいて分析を行うことにした。コロンビア大学図書館をはじめとする国外図書館の協力を得て、資料のうち所在が判明しているものについては、その入手に努めた。 研究成果としては、後期マッキーヴァーの社会科学的因果関係論の解明に力点を置きつつ、マッキーヴァーの社会科学観との関係について解明を進めた。後期マッキーヴァーの方法論的主著と目される"Social Causation"は、社会的諸関係における因果性の問題について、根底的に検討した著作である。そこで、この著作を、アメリカ社会科学における同時代の因果性についての研究、特に自然科学的な因果性と社会科学的な因果性の差異に着目する研究の流れの中に位置づけ、マッキーヴァーの因果関係論の特性を明らかにした。この研究成果については、「マッキーヴァーの因果性論」という論文を2022年度中に公表予定である。 研究成果の2番目は、既に公表した「リンドとマッキーヴァー――もう一つの社会科学方法論争」(2021年)で明らかにした、コロンビア大学における社会科学観に関する対立と、アメリカ社会学における実証主義派と反実証主義派の間の「方法論争」を対比しつつ検討し、アメリカ社会科学における実証主義的方法の持つ意味を再検討したことである。「実践か科学か」という対立と、「実証的科学か非実証的科学か」という科学観の対立が並行して展開する様相を、マッキーヴァーを中心として検討した。この研究に関しては、「マッキーヴァーの社会科学観」という論文を2022年度中に公表予定である。 上記の研究を通して、1930年代のマッキーヴァーの社会科学観を同時代のアメリカ社会科学の中に位置づけるという本研究の目的は達成されたと考える。
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