2016 Fiscal Year Research-status Report
人文主義政治思想史における快楽主義の影響の研究:「徳の政治学」の功利的変容
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16K03491
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
厚見 恵一郎 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00257239)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エピクロス主義 / 快楽主義 / 人文主義 / ルクレティウス / ルネサンス / 徳の政治学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:2016年度はイタリア・ルネサンス政治思想へのルクレティウス哲学の影響の検証を進めようとした。あわせてイタリア・ルネサンスにかぎらず初期近代ヨーロッパ政治思想へのエピクロス主義の影響を、エピクロス主義の政治化ないし「政治的快楽主義」(レオ・シュトラウス)成立の視点から考察することを目指した。 研究方法:関連する研究文献の収集と読解をおこなった。 研究成果:資料収集面での成果としては、当初マキァヴェッリによるルクレティウス写本を閲覧するためヴァチカン図書館出張を予定していたが、当該写本全巻の電子データがヴァチカン図書館のサイトで公開されていることが分かり、ダウンロードすることで資料を入手できた。知見面での成果としては、関連文献の読解をつうじて、(1)マキァヴェッリ前後のルネサンス・イタリアにおけるルクレティウスの影響の広まり、(2)ガッサンディに代表される17世紀のキリスト教的エピクロス主義の論理構造、について知見を得ることができた。(1)については、フィレンツェのルクレティウス・サークル(Bartolomeo Scala, Marcello Adriani, Niccolo Machiavelli)にくわえて、ナポリ(Giovanni Pontano, Michele Marullo)やローマ(Pomponio Leto)にもルクレティウス・サークルがあったことである。(2)については、原子論や「弱い懐疑主義」(=物自体は知りえないが自己の認識は知り得るという根拠に立った自然認識モデルの確実性)を、「魂の可死性」や「摂理の拒否」といった教えから分離したことが、ガッサンディのキリスト教的原子論やメルセンヌの懐疑論の理論的前提となり、ガッサンディにおける「原子の第一起動因たる神」と「原子の自己運動」の二重原因説を可能にしているのではないか、ということである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヴァチカン図書館所蔵のマキァヴェッリによるルクレティウス写本の全体の電子データを入手できたことは2016年度の収穫であった。しかし、別研究テーマでの学会報告準備や本務校での教務の仕事などに時間を費やしたため、当該データの分析をおこなうことができなかったことにより、現在までの進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マキァヴェッリによるルクレティウス写本の書き込みを逐一解読することを試みるとともに、他の一次史料・二次研究文献の収集・読解につとめたい。ルネサンス・イタリアにおけるルクレティウス・サークルの内実解明をさらに進めるとともに、17世紀のキリスト教的エピクロス主義の構造分析をおこなっていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた資料収集等のための海外出張を実施しなかったことと、研究補助員(アルバイト)を雇用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料収集を兼ねて、国際研究カンファレンス出席のための海外主張に使用予定である。
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Research Products
(1 results)