2016 Fiscal Year Research-status Report
日本における政治学リーディングズの不在とその克服:比較政治学的検討
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16K03493
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
越智 敏夫 新潟国際情報大学, 国際学部, 教授 (20247183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 淳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90285081)
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
岡本 仁宏 関西学院大学, 法学部, 教授 (20169155)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治学 / 政治学教育 / リーディングズ / 教科書 / 市民社会 / 政治理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
共同研究開始初年度であったので、まず4月にメール連絡により研究主題、研究計画、研究分担などを確認した。そのおりに年内に2回の全体会合をもつこと、また研究代表者と他の複数の研究分担者および連携研究者による個別会合の予定なども確認した。 初回の全体会合は5月20日に大阪経済法科大学、東京麻布台キャンパスの会議室で開催した。研究計画、研究分担などの再確認をしたうえで、英語圏におけるリーディングズの現状、また日本での政治学教育などについて議論した。その後、それらの共通認識のもとでどのように研究を進めるかについて討議した。 二回目の全体会合の前に、代表者と各研究分担者および連携研究者のあいだでメール交換により初回の全体会合の議論の内容についてさらに討議した。それらを整理したものを相互にメールで交換したのちに10月2日に二回目の全体会合を立命館大学、大阪茨木キャンパスで開催した。まず政治学教育におけるリーディングズとテキストの関係について討議した。そののちに、研究代表者が「直接民主制と代議制」という具体的な争点を選択し、さらに争点を「原発建設に関する住民投票」と限定したうえで、その政治学的意義を議論できるような文献を提示した。それらを政治学教育に使用する際のモデルケースとして、リーディングズに収録する際の解説テキスト案を事例的に報告した。その報告に基づき全員で、リーディングズとテキストの構成について討議した。 その後、次年度以降の研究計画、また具体的なリーディングズとテキストの内容について継続的に相互にメールで意見交換をおこなった。また研究代表者は3月にトロント市(カナダ)で開催されたアジア学会の機会を利用し、アメリカ、カナダの研究者らと研究会を開催し、政治学教育におけるリーディングズの使用方法等について討議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究開始初年度としては問題なく進捗していると思われる。研究開始期において重要な研究計画、研究分担については初回会合前に参加者間で基本的認識を共有でき、また初回の全体研究会においても4年計画の概要を再確認できた。 さらに初回の全体研究会では基本概念の再検討、またリーディングズと事例研究の関連についても長時間の議論によって認識の共有がされた。その際、リーディングズの発刊のみならず、政治学テキストの発刊についても合意が形成された。 二回目の全体研究会は事例研究を中心として開催された。リーディングズ原稿の執筆に際しての基本方針、事例選択の基準などが討議されたが、本研究会での議論によって二年次以降の共同研究の進捗についても確認された。そのことによって二年次以降のより円滑な研究が可能となったと思われる。 なお研究分担者の一人である岡野が当該年度の冬から海外研究となったが、研究分担や原稿執筆計画についての連絡はメール等で従前どおり問題なくおこなわれており、本計画全体の進行を阻害するものとはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の二年次である2017年度後期から研究代表者である越智が1年間の予定で海外研究をおこなうこととなった。そのため前期中に全体研究会を開催し、各自の研究分担、またその進捗状況などを確認したうえで、後期にむけて事例研究を進展させていきたい。 またアメリカ合衆国の高等教育におけるう政治学教育のありかた、特にそのリーディングズの使用実態についての調査、研究も全体の研究計画のなかの重要部分として想定されているために、研究代表者の在米研究期間中は、その領域に関する研究をより重点的に進めたい。その際、研究協力者である3名のアメリカ人研究者にも協力を要請し、アメリカ国内で研究会なども開催したい。現在のところ12月初旬をめどにコロンビア大学(ニューヨーク市)において研究会を開催の予定である。 研究代表者の渡米後、他の日本人研究者は各自の分担箇所に関する研究、執筆を継続し、それらの進捗状況については、常にメールでの相互連絡によって確認、調整していく予定である。
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Causes of Carryover |
全体で4年計画のため、初年度に研究分担者に配分した研究費のうち、特に書籍購入、旅費に関しては研究の進展に比して、本年度における予定されたものよりも少額な支出となった研究分担者が複数いた。また海外研究となった者もおり、その研究分担者も当初想定されていた額よりも少額の書籍購入となった。それらの理由により次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に使用することが想定されていたもので次年度に使用することとなったものは、ほぼ書籍と旅費であるので、それらを次年度に使用する予定である。各自の研究分担分野の執筆のための資料用書籍、また現地調査と全体研究会合への参加のための旅費として、次年度分助成金とあわせて使用される予定である。
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Research Products
(12 results)