2017 Fiscal Year Research-status Report
日本における政治学リーディングズの不在とその克服:比較政治学的検討
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16K03493
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
越智 敏夫 新潟国際情報大学, 国際学部, 教授 (20247183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 淳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90285081)
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
岡本 仁宏 関西学院大学, 法学部, 教授 (20169155)
出岡 直也 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (50151486)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治学 / 政治学教育 / リーディングズ / 教科書 / 市民社会 / 政治理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
共同研究の第2年度であったので、年度開始期に初年度の2回の全体会合の内容に関してメールの相互交換により全メンバー間で確認した。全体の研究主題、研究計画、研究分担などの確認とともに、各自の分担テーマの再確認と修正をおこなった。また初年度後期からフランスおよびイギリスでの在外研究をおこなうことなった研究分担者1名(岡野)が在外研究を本年度も継続することになり、さらに研究代表者(越智)も本年度後期からアメリカ合衆国での在外研究となったために、研究計画、特に全体会合の日程等の変更の必要が生じた。そのため、さらに構成員相互の議論により、本年度、また第3年度の計画について調整をおこなった。その際には前年どおり、研究代表者と他の複数の研究分担者および連携研究者による個別会合の予定なども確認した。それらの計画にしたがい、各分担者、各協力者ともに各自のテーマにそって研究を推進させた。 在外研究となった上記2名はそれぞれ赴任地における政治学教育、特にその初年度教育など、政治学教育のなかのいわゆる入門や概論などの実際について、フランス、イギリス、アメリカ合衆国での講義方法について調査し、あわせてその際に使用されるリーディングズについても調査した。 また研究代表者は在外研究期間を利用して赴任先大学(ノースカロライナ大学チャペルヒル校、カリフォルニア大学ロサンゼルス校)以外の大学を複数訪問(2017年10月:デューク大学、同11月:ワシントン・アンド・リー大学、同12月:コロンビア大学)し、上記同様、政治学の基礎教育における方法や使用資料について調査した。また研究の一部を12月にコロンビア大学で開催された国際シンポジウムで発表し、関連研究者から有益なコメントを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は共同研究開始期としては問題ない進捗度だったと思われるが、本年度においては既述のとおり、代表者を含め2名が在外研究となり、特に後期においては研究代表者も在外研究中となったために、当初の研究計画と比して若干遅延する可能性があった。 しかし2名の在外研究という機会は、海外における政治学教育の調査に関して、当初の研究計画に予定されていた以上に研究に際して利便性を提供したのみならず、赴任地における偶発的な事由(政治学教育についての会合への参加を要請される等)によって、当該研究に関する想定外の研究機会も効果的に得ることができた。今後はそれらの在外研究という機会からえた知見を研究成果として整理、統合していきたい。 また他の研究分担者、研究協力者も含めて、全構成員が各自のテーマについては予定どおり研究を進捗させることができたと思われる。それらの統合は研究計画の第3年度、特にその後期において集中的におこなう予定である。 以上のような諸状況を勘案すると、計画全体ではおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本方針、事例選択の基準などは初年度に討議され決定済であり、本研究会の全体計画に大きな変更点はない。ただ前述のように研究の第2年次である本年度において研究代表者と研究分担者一名の計二名が在外研究によって国内不在のため、研究計画の若干の変更の必要が生じたように思われる。 さらに当初の計画にあるリーディングズに関する各分担者、各協力者における個々の研究を統合するための研究会自体は予定どおり開催することが可能であるが、それらの議論を受けて、実際の政治学教育に寄与するためのリーディングズの編集作業、またその刊行については若干の時間的余裕が必要だと思われる。そのためリーディングズ刊行までの計画を再修正する必要が生じる可能性がある。 また初年度の研究会において、そのリーディングズについての議論と並行して提起されたテキスト(政治学教科書)刊行についての議論も現在進行中である。当初の研究計画においては、テキスト出版はあくまでも付随的なものだと想定されていたが、その刊行の必要性と実施について本研究会構成員のあいだで合意ができれば、そのテキスト編集、刊行に付随して生じる研究計画の変更についても今後、継続して検討していきたい。
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Causes of Carryover |
全体で4年計画の研究計画であるが、第2年次の本年は初年次後期から在外研究となった研究分担者1名が継続して在外研究にあたることとなった。また研究代表者も第2年次後期から在外研究となり、その両者の配分額において当初国内での研究用とされていた予算の執行が、両者の研究活動において控えられたため、本年度の使用額が当初の予算を下回ることとなった。主に以上の理由により次年度使用額が生じた。 本年度に使用することが想定されていたもので次年度に使用することとなったものは、ほぼ物品費と旅費であるので、それらを同目的のために次年度に使用する予定である。それらは各自の研究分担分野の執筆のための資料用書籍、また現地調査と全体研究会合への参加のための旅費として、次年度分助成金とあわせて使用される予定である。
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Research Products
(20 results)