2016 Fiscal Year Research-status Report
崩壊国家生成をめぐる国際関係の展開:北東アフリカを事例として
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16K03510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 貢 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70251311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 崩壊国家 / アフリカの角 / 国家論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで申請者が実施してきた「崩壊国家」と国際秩序をめぐる諸課題を北東アフリカ地域(あるいは「アフリカの角」地域)の国際関係に視野を広げる形で深化・発展することを試みようとしている研究である。従来は、ソマリアに焦点を当てた研究を行ってきたが、本研究においては、隣国のケニアやエチオピアとの関係にも留意する形で検討を加えようとしている。 今年度については、最新の関連研究野収集と分析を行うとともに、現地における新たな動向の観察を継続的に実施した。特に「崩壊国家」として位置づけられてきたソマリアにおいて実施された上下両議員選挙と大統領選挙の過程をつぶさに分析を行った。こうした取り組みが、今後の「崩壊国家」状況を脱することにつながるか否かにおける一つの転換点と考えられる動向であったこともある。実際、中東とアフリカを挟んだ複雑な力学やSNS利用などの影響が観察されるものであり、興味深い現象として評価できるものと考えられた。この研究成果については、2017年度の日本アフリカ学会の研究大会においてその一部を報告する予定である。 また、隣国ケニアにおける最大のソマリ人コミュニティであるナイロビのイシリー地域の歴史と現状を資料を用いて検討を加える作業を実施した。ソマリ人の国外におけるコミュニティ形成については、ディアスポラについての研究を行う当初の予定と整合的なものであり、また、今後の研究における重要な示唆を与えるもので、今後引き続き検討を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度に関しては、残念ながら諸般の事情により十分な海外渡航のための時間を割くことが叶わなかったこともあり、予定していた海外での調査を行うことが出来なかった。しかし、既知の研究者やソマリ人ディアスポラとの間の連絡などを通じて、様々な情報収集を実施することが出来たこともあり、おおむね予定していた作業を実施することができた。また、最新の研究成果についても多くの情報収集をすることが出来たことによっても、おおむね予定していた作業を遂行することにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度には、北東アフリカ(アフリカの角)地域における地政学的要因をより精緻に検討するための作業を実施する予定である。具体的には、エチオピア、ウガンダなどソマリアにアフリカ連合のミッションを派遣している国々の動向に加え、紅海を挟んだ対岸のイエメンの動向にもできる限り配慮する形で、ソマリアを中心としたこの地域の国際関係を読み解く作業を実施する予定である。 方法としては引き続き文献調査に加え、最新の各種国際機関等の報告書を参照する形で実証分析を行うとともに、夏季休業を利用した調査をディアスポラ・コミュニティの存在するヨーロッパ、あるいは南アフリカで実施することを検討していく。また、最終成果につながるための分析視角をさらに精緻に検討する作業を実施する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外出張での支出が行われなかったため、おおむね出張費分に相当する金額を繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き海外での調査費として当てる可能性を模索するとともに、海外調査が難しい場合には、調査で入手する予定の情報などを代替的に入手するための取り組みを行うことにより支出を行う予定である。
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Research Products
(2 results)