2016 Fiscal Year Research-status Report
国際制度の「共通の利益」に与える影響に関する政治学的研究
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16K03511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古城 佳子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30205398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 淳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90285081)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際協調 / 共通の利益 / 国際制度 / 非国家主体 / グローバル・イシュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際関係において「共通の利益(ommon interest)」の認識の形成に国際制度(international institution)がどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的としている。特に、現在の国際関係では、地球規模問題(グローバル・イシュー)と呼ばれる問題が増加し、国家間協力(国際協調)はますます重要な課題となっている。平成28年度は本研究の初年度に当たる。研究実施計画に従い、グローバル・イシューに関する国際協力についての研究、国際制度の機能に関する理論的研究、国際協力における情報の役割に関する研究の先行研究を渉猟し、整理し、研究代表者と分担者での意見交換を行った。特に、研究代表者は、国際制度の役割に焦点を当てた研究に見られる展開(国際公共財理論とオーケストレーション理論)を批判的に検討した。これらの作業から、研究代表者は、従来の国際制度論において分析が不十分である二つの点、(1)非国家主体と国家、国際制度の関係、(2)国際システムにおける勢力分布の変化が国際制度の役割に与える変化、に焦点を当てて検討を進めるに至った。 これらの点についての考察は、国際交流基金のシンポジウムでの報告で発表した。また、現実の国際関係では変動が起こりつつあり、アメリカでのトランプ政権の誕生は国際制度に対するアメリカの認識が変化したことを示しており、他のアクターの認識、特に「共通の利益」の実現に対する国際制度の役割に対しての認識を大きく変える可能性がある。大国であるアメリカにおけるこのような認識の変化についての論考をまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に述べた点は実施することができた。 ただ、先方の準備の関係で予定していた出張を次年度に繰り越さざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に従い、事例研究に進む予定である。そのために、国際制度論の分野の研究者を海外から招き、意見交換することが必要になると考えている。
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Causes of Carryover |
本年度に、次年度以降の事例研究に向けて資料収集の海外出張を予定していたが、研究代表者は先方の都合により次年度に延期することになった。また、研究分担者は大学の役職上の業務により出張の都合をつけることが難しくなり予定を変更せざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に出張を行うとともに、海外からの研究者の招聘費用に用いる予定である。
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Research Products
(4 results)