2018 Fiscal Year Research-status Report
国際制度の「共通の利益」に与える影響に関する政治学的研究
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16K03511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古城 佳子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30205398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 淳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90285081)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際協調 / 共通の利益 / 国際制度 / 安全保障 / グローバル・イシュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際関係において「共通の利益(common interest)」の認識の形成に国際制度(international institution)が国内政治を通してどのように影響を与えるのかを、分野の異なる事例(研究代表者は国際経済分野を、研究分担者は安全保障分野を担当する)を検討することで明らかにすることを目的としている。平成30年度は、前年度までの国際制度と「共通の利益」との理論的な検討を踏まえて、それぞれの事例研究をさらに進め、その中間的な成果を刊行した。また、関連する研究者を招いてワークショップを行い意見交換を行った。 研究代表者は、国際金融の分野においてIMFを中心とした国際制度(G7サミットでの合意も含め)が国際金融の不安定の回避を課題とする状況において、日米の政策において国際制度での合意が「共通の利益」として国内政策において金融当局に認識される過程の考察を進めた。日本においての考察の結果は、米国研究者との日本の金融政策についての国際共同研究の成果の一部として刊行した。 研究分担者は、「国家の安全と個人の安全は両立するのか」というテーマについて引き続き考察を進め、前年度に明らかにした国際制度が十分に機能しない状況では、関係主体が同時にその価値の保全を実現できるものではないという理論的成果に基づいた論考を刊行した。 これらの考察の結果、政府が国際制度に関与することにより、政府の政策についての情報を国内アクターは予測することが可能になり、その予測可能性が国内アクターの行動に影響を与えることが指摘でき、多くの既存研究とは異なり、国際制度が必ずしも国内の「共通の利益」の認識の共有を促進するとは限らないということを指摘できる可能性が出てきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者は、研究科長に選出され2018年度は多忙を極めたため、研究の時間が削減された。また、研究代表者は、母親の容体が悪化し介護に時間を割かねばならず、研究への時間が削減された。以上の理由により、研究実施計画よりも進捗状況が遅れたため研究期間の一年の延長を申請し、認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初はそれぞれの事例研究を進め分野横断的な検討を行う予定であったが、当初予定した事例研究に想定よりも時間がかかり、かつ資料的な制約があることがわかったため、事例研究の焦点を絞って分析を速め、認められた一年の延長期間において分野横断的な検討を行うよう研究計画を変更した。
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Causes of Carryover |
平成30年度において、研究期間延長申請をした理由により、研究代表者および研究分担者が予定した研究を進められなかったため。
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Research Products
(3 results)