2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03512
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木宮 正史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30221922)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 朝鮮半島 / 韓国 / 北朝鮮 / 南北朝鮮関係 / 米韓関係 / 米朝関係 / 日韓関係 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
韓国の1970年代から80年代の外交文書を韓国外交史料館での調査を通して収集することで、朴正熙政権とその後継政権である全斗煥政権の外交を、特に対共産圏外交と対第3世界外交に焦点を当てて解明する作業を前年度に引き続き行った。さらに、2017年度は、そうした韓国や朝鮮半島をめぐる国際関係が韓国の政治変動、具体的には1987年度の民主化に至る政治変動にどのような影響を及ぼしたのかを解明する作業にも取り組んだ。そして、その成果を「韓国の民主化と国際政治」という韓国語の論文として発表した。特に、韓国における民主化運動とアメリカの対韓外交政策とが結果的にどのように連携して韓国の民主化を帰結させたのかを、韓国政府の外交文書とアメリカの外交文書などを通して明らかにすることができた。 2017年度は、本来、8月にアメリカ国立公文書館を訪問してアメリカ外交文書の研究調査を行うことを計画していたが、本人が責任者を務める、海外韓国学中核大学事業団の団長会議がほぼ1週間ドイツのチュービンゲンで行われたために、そちらの日程と重なってしまったので、行うことができなかった。これについては、2018年度8月に行うことを計画している。また、韓国の外交文書が1987年度分と88年度分とが公開される予定であり、その調査を行う予定である。 その他、朝鮮半島情勢は、2017年の米トランプ政権と北朝鮮金正恩政権との間での軍事的緊張の高まりという状況から、2018年に入り、南北首脳会談、そして米朝首脳会談が予定されており、目まぐるしい現状の展開が見られるが、そうした現状分析に対しても積極的に取り組んできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年8月にアメリカ国立公文書館でのアメリカ外交文書に関する研究調査を予定していたが、本人が責任者を務める海外韓国学中核大学事業団の団長会議が同時期ドイツのチュービンゲン大学で開催されたため、そちらの日程を優先させざるを得なかったために、2017年度に実施することは断念した。それが遅れの最大の理由である。しかし、この研究事業については、2018年度8月に実施する計画であるので、それほど心配はしていない。特に、2018年度に実施した方が、より効率的な外交文書の調査、研究が可能であるので、むしろ、それを活かして意味のある調査活動を行いたい。 その他、韓国外交文書に関しては、どうしても、3月末に新たな文書公開が行われるために、2017年度の調査に関しては、新たに公開された1987年度分の外交文書に関する調査を2018年度に行わざるを得ない。これについても、2018年5月のゴールデンウィーク中の外国出張を利用して行うことになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2018年5月のゴールデンウィーク中の韓国出張によって、2018年3月末に公開された1987年分の韓国外交文書に関する調査を行う。特に、1987年6月には韓国の民主化があっただけに、韓国の民主化をめぐる米韓関係に関する韓国外交文書に対する調査を行う。それによって、今まで、理論的仮説の段階にとどまっていた、アメリカの対韓政策が韓国の民主化に対して具体的にどのような役割を果たしたのかを一次史料を通して解明する作業に取り組みたい。 さらに、この時期は、民主化を挟んで韓国の北方外交が本格的に展開された時期でもあったために、韓国の北方外交、特に、対ソ外交、対中外交のみならず、対北朝鮮政策、さらに、対東欧共産圏諸国外交に関する韓国の外交文書を読み込むことによって、北方外交に関する既存の通説を書き換えるような新たな研究を提示することを考えている。 そのうえで、現在、目前で展開されている朝鮮半島をめぐる新たな情勢に対して、それをポスト冷戦下におけるグローバル冷戦の終焉と朝鮮半島の持続というある種の「逆説」という問題を念頭に置きながら解説、解明するという知的作業に取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
2017年8月に予定されていたアメリカ国立公文書館におけるアメリカの対朝鮮半島政策に関する外交文書の調査研究事業が、同時期にドイツのチュービンゲンで行われた、本人が責任者を務める海外韓国学中核大学事業団の団長会議の日程と重なってしまったため、行うことができなかった。また、2018年3月に行う予定であった韓国外交史料館における韓国外交文書の調査に関しても、同時期に行われた外務省関連の日韓関係に関する会議と日程が重なったため行うことができなかった。韓国外交史料館における調査は、2018年5月に行うことが決まっているし、また、アメリカ国立公文書館における調査に関しても2018年8月に行う異が決まっているので、使用計画に関しては何の問題もない。
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Research Products
(21 results)