2016 Fiscal Year Research-status Report
日米韓関係における文化政策の位相と歴史問題-文化財・文化遺産を中心に
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16K03513
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (90626730)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化財 / 文化遺産 / 日米韓関係 / 歴史認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
略奪文化財をめぐる返還、世界文化遺産の登録をめぐる日韓の歴史認識問題に関して、研究を進めた。長崎、対馬のフィールドワークを行い、文化財に関する展示の説明などを中心に調査した。 具体的には、長崎市の高島にある炭鉱資料館や端島(軍艦島)、対馬市を訪問した。(端島は波が高く上陸できなかった)対馬市では関係機関を訪問し、県や国の文化財登録を受けた文化財のある地を訪問し、関係者へのインタビューを通じて現地の考えや対応、また資料についても教えていただいたことは、たいへん意義深かった。 現在までの研究成果は査読付き学会誌など、複数の研究機関に提出し、いくつかの論文としてまとめることができた。研究成果をまとめるにあたり、国内外の資料や関係者から助言も受けたため、成果を広く公開することで、知的循環ができるよう心がけた。 まだ論文としてまとめられていない研究内容としては、韓国での仏像をめぐる裁判や石炭資料館の表示説明など、現在、日本国内のみならず、他国や国際的に進行中の案件がある。過去の朝鮮と日本の歴史・政治問題に対する現在の外交関係が文化財をめぐる政策にどのように投影されるのかを分析する資料をそろえている。 合わせて、日韓の専門家セミナーに定期的に参加することもできたことは、日韓の専門が異なる研究者や関係者から、日本と韓国における歴史問題の外交問題化をめぐり、どのようなアプローチをできるか、自らの研究成果をふまえながら意見交換ができたのは良かった。一次資料だけでなく、政治をめぐる多様な意見を知ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書通り資料調査、現地のフィールドワークを終え、研究成果を複数提出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外での資料調査およびフィールドワーク、国際学会への参加を念頭に置き、研究交流を進めたい。
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Causes of Carryover |
次年度の科研研究会の回数を増やしシンポジウムを国内で開催することになったため、繰越金が必要になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は科研研究会が主催するシンポジウムに参加する旅費(国内)に使用する。
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