2018 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of Economic Globalization on Trade Policy: A Study Using Qualitative Comparative Analysis
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16K03524
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 泰昌 長崎大学, 経済学部, 准教授 (40584694)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 貿易 / 質的比較分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、研究期間全体で行ってきた研究に基づき、2つの成果をあげた。 1つは、昨年度決定した研究デザインの変更に沿って、調査実験を実施したことである。一般の人々がどのような自由貿易協定であれば支持する/しないのかについて、オンライン調査を実施した。交付申請時からの関心事である経済のグローバル化という要因のみならず、日本が直面する安全保障環境という要因等の影響についても確認する調査デザインを採用した。調査を通じて得られた知見の1つは、一般の人々は、経済的側面のみならず、国家安全保障の側面も考慮した上で自由貿易協定への賛否を判断しているということである。従来、一般の人々は自身あるいは国全体の経済的損得から経済政策の是非を判断し、安全保障の側面をも考慮するのは政府だけだと想定されてきた。こうした通説とは異なり、人々は安全保障の側面をも考慮して自由貿易協定への是非を判断することを明らかにしたという意味で、有意義な研究成果を得られた。学会発表でも好意的な評価を得ており、学術誌への投稿準備を進めている。 もう1つは、交付申請時に重視した質的比較分析(QCA)という手法に対する考察をさらに深めたことである。昨年度に引き続き、同手法に関する共著論文の執筆をBenoit Rihoux教授(ルーヴァン・カトリック大学)と進めた。また(貿易とは異なるイシューではあるが)、QCAを用いた研究を(昨年度に引き続き)同時並行で進めた。後者については、計量分析を用いた先行研究群が一見矛盾した知見を提示してきたのに対して、QCAによってその矛盾を解きほぐすような結果を得られた。学術誌への投稿を行い、査読を受けている段階である。 以上のように研究期間全体を通じて、貿易政策を左右する新たな側面を調査を通じて明らかにするとともに、QCAという手法の研究を通じて社会現象の新たな捉え方を考察することができた。
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Research Products
(3 results)