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2018 Fiscal Year Research-status Report

パリ合意の実効性―京都議定書後継枠組みの行方

Research Project

Project/Area Number 16K03525
Research InstitutionThe University of Shimane

Principal Investigator

沖村 理史  島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (50453197)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
Keywords気候変動問題 / 国際制度 / 実効性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の対象となるパリ協定が、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で定められて3年が経過した。パリ協定は、国際社会の期待を集め、わずか1年以内となる2016年に発効した。その結果、パリ協定の詳細ルールの決定は、2016年に開幕したパリ協定第1回締約国会合に間に合わず、2018年に開催された国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)まで交渉を継続することとされ、本年度はその交渉の最終年度となった。パリ協定交渉時に申請した本研究は、パリ協定の成立を前提とし、パリ合意の実効性と気候変動ガバナンスの変容に関する実証分析を研究目的として設定した。
2018年度は、昨年度に引き続き、2017年6月にパリ協定から脱退を表明したトランプ政権の動向と、アメリカの方向転換がパリ協定の実効性に与える影響の調査を行った。世界第二位の二酸化炭素排出国であり、と同時に単独主義をとなえるトランプ政権がとった行動が国際社会に与える影響の分析は、学術面のみならず現実社会においても、重要なテーマである。その上で、昨年度行ったブッシュ政権の京都議定書離脱とトランプ政権のパリ協定離脱の比較に関する学会報告を踏まえ、国連気候変動枠組条約体制におけるアメリカの役割に関する分析を論文にまとめ、発表した。この調査、および論文執筆と同時並行して、パリ協定の詳細ルールがパリ協定の実効性に与える影響に関する調査も行った。具体的には、国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)に参加し、決定されたパリ協定の詳細ルールが、各国の気候変動政策に与える影響に関する評価のための実態調査を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2018年度は、2017年度に引き続きトランプ政権の気候変動外交に関する文献調査を行い、その具体的な内容とパリ協定の実効性に与える影響を明らかにすることを目指した。パリ協定の合意にあたって大きな貢献を果たしたアメリカが、政権交代後に方針を大きく覆したことは、パリ協定の実効性に大きな影響を与える。そこで、昨年度の研究実績をさらに進め、アメリカが気候変動ガバナンスにあたえる影響を分析した「国連気候変動枠組条約体制とアメリカ」という論文を執筆・投稿し、査読を経て受理・刊行された。
また、5月に開催された国連気候変動枠組条約パリ協定作業部会と、11月に開催された国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)に参加し、事例分析に必要な情報収集に努めた。具体的には、アメリカの政策変更がパリ協定の実効性に与える影響に関する情報収集に加え、パリ協定の詳細を定める実施ルールの制度設計を通じて、グローバルな気候変動ガバナンスシステムをどのように構築し、パリ協定の実効性を国際社会がどのように担保していこうとしているのか、政府間交渉会議で議論されている内容を調査した。さらに、COP24で、パリ協定の詳細を定める実施ルールがほぼ決定したことを踏まえ、その内容についても現在精査している最中である。
このように、パリ協定の実効性を検討する上で、気候変動ガバナンスの変容の状況について、国際社会の動きを詳細かつ多様な観点から調査すると共に、その研究成果を発表しているため、おおむね順調に進展していると評価できる。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、気候変動ガバナンスの制度設計の行方をその最前線で調査すると共に、国際交渉に参加している多様なステークホルダーの主張に関する情報収集を行う。具体的には、国際的な気候変動ガバナンスシステムの制度設計が議論されている国連気候変動枠組条約締約国会議に参加し、政府間交渉の内容を取材する予定である。また、同時並行して、これまでの調査・研究を踏まえ、パリ協定の実効性について見解をまとめ、気候変動ガバナンスがどの程度機能するのか、評価分析を行う予定である。
2019年度は、昨年度に引き続き、国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)に参加し、パリ協定の詳細ルールの制度設計を参与観察する。国際交渉の現場では、パリ協定の詳細を定める実施ルールの調査に加え、パリ協定によって各国の気候変動政策がどの程度進展しているのか、聞き取り調査を行う予定である。また、同時並行して、気候変動ガバナンスや国内、地域レベルでの気候変動政策決定過程に関する文献調査も行う。さらに、これまでの研究を踏まえた国連気候変動枠組条約体制の実効性について、秋に開催される日本国際政治学会で報告を行う予定である。したがって、研究費の多くは旅費に用いられ、一部は昨年度執行を抑えた文献調査に必要な書籍、論文購入に充てる予定である。

Causes of Carryover

2018年度の間に、広島市立大学への移籍が決定したため、研究図書の移し替えの作業の繁雑性を省略するために、2018年度は文献調査に必要な書籍の購入を控えた。また、2019年度予算で調査のため参加することとしている国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)は、南米のチリで開催が予定され、高額な旅費による予算不足が懸念されることから、2018年度は意図的に執行を抑制し、2019年度の旅費に回すこととした。これらの理由から生じた次年度使用額は、2019年度の調査研究で相当程度執行される予定である。本研究は、基金によって行われているため、このような外的条件の変化にも柔軟に対応することができ、複数年度にわたる研究計画を遂行する上で大変ありがたく感じている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 国連気候変動枠組条約体制とアメリカ2018

    • Author(s)
      沖村理史
    • Journal Title

      総合政策論叢

      Volume: 36 Pages: 1-20

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2019-12-27  

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