2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03532
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
松井 暁 専修大学, 経済学部, 教授 (90238931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松元 雅和 関西大学, 政経学部, 准教授 (00528929)
向山 恭一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10235202)
坂口 緑 明治学院大学, 社会学部, 教授 (10339575)
伊藤 恭彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (30223192)
施 光恒 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (70372753)
田上 孝一 立正大学, 人文科学研究所, 研究員 (70646603)
有賀 誠 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 人文社会科学群, 教授 (90531765)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グローバル化 / 環境倫理 / 正戦論 / 完成主義 / コミュニティ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトでは、全体テーマであるグローバル・イシューを六つのパートに分け、グループに分かれて研究を推進する体制をとった。すなわち、グローバル市場、政治空間の変容、戦争と平和、環境・生命、主体・関係・アイデンティティの変容、変革の方向である。そのうち、政治空間の変容については、松井暁の権利論、有賀誠・伊藤恭彦の政府理論、そして坂口緑によるコミュニティ教育の研究が進められた。グローバル化社会のなかにあって、従来からの統治単位である国家・政府そしてコミュニティをどのように位置づけるかが検討されている。環境・生命では、田上孝一が環境と動物の倫理についての単著を発表した。現代社会の特徴は環境をめぐるリスクが一部の社会にとどまらず、世界的規模で連鎖することである。戦争と平和については、松元雅和がこれまで携わってきた正戦論、政治的悪に関する論文を公表した。冷戦体制が崩壊して以降、われわれは新たな世界秩序を求めているが、安定した平和的な共存関係をいまだ見出せずにいる。われわれのプロジェクトは戦争と平和という問題を単なるリアリズムに終わらず規範理論的に探求するところにその大きな意義がある。変革の方向に関しては、松井暁が三つの倫理学すなわち功利主義、義務論、完成主義とあるべき社会の関係について検討し、二つの国際学会で報告している。この分野でも新たな社会システムを構成する価値は何か、倫理的な価値規範に立ち返っての洞察が試みられている。それぞれの研究は、すべて本プロジェクトのテーマであるグローバル・イシューとの関連を踏まえつつなされているところに大きな特色がある。まだ六つのパートすべてで業績を出すに至ってはいないが、すでに出された業績からは、本プロジェクトの特色である規範理論的なアプローチの成果が明らかに示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文、著作、学会発表のいずれにおいても各メンバーは業績を出しつつあり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
六つのパートのうち、グローバル市場、主体・関係・アイデンティティの変容については、研究としては進展しているものの業績としてはいまだ発表されていない。今後、この面でも業績を出すとともに、六つのパートの相互連関にも比重を移していきたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度の予定では、旅費が40万円であったが、75万円と35万円超過した。しかし、物品費が予定では80万円だったのが、43万円にとどまったので、全体では13万円繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度はテーマのグローバル・イシュー関連の資料購入にあてたい。
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