2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03535
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本多 美樹 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授(任期付) (30572995)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 平和構築 / アジア / ジェンダー / 国連 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、平和構築のプロセスにおいて女性の参画を進めることの重要性と、その参画がアジア地域の弱者の能力強化(エンパワーメント)にどの程度の影響を与えているのかを人間の安全保障の視点に立ち、明らかにすることである。 2016年度は、国連が国際社会において制度化や規範化を進めてきた平和構築への女性参画に関する一連の安保理決議を整理した。また、ジェンダーの主流化と女性のエンパワーメントが平和への活動に与える影響についてより良く理解するため、歴史的背景、政治的背景、国際環境についてついての先行研究の整理と関連資料の収集、整理を行った。とくに、国連安保理で採択された平和構築およびジェンダー関連の決議については読み込みを行った後、リストを作成することができた。さらに、2017年度には平和への移行期にあるアジア諸国(とくに、インドネシアや東チモール)において国政を問う選挙が行われることから、当該国の基礎資料の収集と文献整理も行った。初年度の成果の一部は、「平和構築の新たな潮流と「人間の安全保障」:ジェンダーの視座の導入に注目して」として、山田満[編著]『東南アジアの紛争予防と「人間の安全保障」:武力紛争、難民、災害、社会的排除への対応と解決にむけて』(明石書店、2016年)の第4章に所収した。 また、別のプロジェクトで早稲田大学に招聘したインドネシアおよび東チモールの市民団体の代表者から、紛争後の国家における選挙と市民社会の役割について意見を聞き、議論する機会を持つことができた。2017年の大統領選挙と国民議会選挙への課題について彼らから得た情報を今後の調査と執筆活動に活かす予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度に海外調査のための旅費として予算を立てていたが、2017年度に、平和への移行期にあるアジア諸国(とくに調査対象となるインドネシアや東チモール)で国政選挙がおこなわれることから、夏以降に、それらの選挙のプロセスやその後の国政状況を調査したい意向があり、2017年度に予算を持ち越した。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度の基礎資料の収集と文献整理を通じて、平和構築活動への女性の参画を進めてきた国家としてインドネシアと東チモールを調査対象と考えていることから、2017年度は現地調査を進める予定である。2017年度に大統領選挙および国民議会選挙があることから、選挙のプロセスと前後の情勢を鑑みながら調査を進めたい。また、調査の際に、シンガポールの南洋工科大学ラジャトナム国際学センター内にある非伝統的安全保障のネットワーク(Consortium of Non-Traditional Security Studies in Asia)を訪問し、情報収集と会合を持つ予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度に海外調査費用として予算を計上していたが、基礎資料や先行研究の結果、調査対象国としてインドネシアおよび(あるいは)東チモールが相応しいことが判明した。インドネシアと東チモールでは2017年に大統領選挙および国民議会選挙が行われることから、それらの結果を見たうえで、選挙の運営と政策への関与における女性の参画を調査することが本研究にとって必要であると考えたため、海外調査を2017年度に持ち越した。よって、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、インドネシアおよび(あるいは)東チモールでの選挙にみる女性の参画、また、選挙だけでなく、これまでの平和移行期における女性の参画と社会への影響について調査するために現地で調査を行う予定である。また、この分野において調査・研究業績のあるシンガポールの南洋工科大学の研究所を訪問することも計画している。それらの渡航費に前年度から持ち越した予算を使用したい。
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Research Products
(1 results)