2018 Fiscal Year Annual Research Report
"Mainstreaming of gender" in the peacebuilding activities in Asia
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16K03535
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
本多 美樹 法政大学, 法学部, 教授 (30572995)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 平和構築 / 国連 / 国際規範・価値 / ジェンダー / エンパワーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人間の安全保障の視点に立ち、平和構築のあらゆるプロセスにおいて女性の参画を進めることの重要性と、その参画が地域の弱者の能力強化(エンパワーメント)に与える影響について明らかにすることであった。 国際連合(国連)は、一連の安全保障理事会(安保理)決議を基に、平和移行期の女性の役割の制度化や規範化を進め、国際社会に新たな視座を与えてきた。近年の決議では、紛争下での弱者の保護を進めながら、和平プロセスなどの意思決定過程における女性の参画の重要性を強調してきた。そこで、本研究では、ジェンダーに対する国際社会の認識の変化について安保理決議を軸に整理した後、近年の平和構築活動における女性の参画に注目して考察した。 本研究を進めるうちに、平和の定着が進まない要因の一つとして、法やジェンダーなどの価値・規範が当該社会で根付き難いこと、また、国際社会と現地の間に規範や価値の認識について大きな隔たりがあることが明確になった。社会の基礎としての法律や規範の共有は国際秩序の維持のために必要であるが、平和移行期の国家や、法律や規範は守るべきだという認識が社会の構成要素に共有されていない国家においては、他のアクターとの規範価値の共有は容易ではない。支援する側がどのようなアプローチで進めれば、当該社会と法や価値・規範を共有することが可能になるのかについて研究を進める必要がでてきた。そこで、法や価値・規範の共有における多様なアクターの関与と調整に注目して、国連が進めてきた法制度づくりと価値規範の伝播の努力について分析をおこなった。研究の成果として、学会や研究会での報告、数本の論文を執筆することができたが、女性の平和活動への参画が地域の弱者のエンパワーメントに与える実質的な影響については、調査対象の選択、時間的制約から実現することができなかった。引き続き調査を続けている。
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Research Products
(4 results)