2016 Fiscal Year Research-status Report
アラブ連盟をめぐる「アラブ外交」の成立に関する研究
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16K03538
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
北澤 義之 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (90257767)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アラブ外交 / アラブ連盟 / アラブナショナリズム / 機能的協力関係 / ALECSO / アラビア語教育 / 対テロ協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は主に日本国内と米国およびエジプト、チュニジアでの資料調査に重点を置いた。今後は、国内に散逸しているアラブ連盟関連資料の収集・整理とカイロのアラブ連盟本部、さらに英国などヨーロッパの図書館・研究機関で資料収集を継続する予定である。 米国議会図書館、国会図書館においては、アラブ連盟加盟国の近年の統計的データの収集と、アラブ連盟と国連の連携機能に関する資料を調査した。中でも、The Arab Millennium Development Goals Report: Facing challenges and looking beyond 2015作成に関連して、アラブ連盟の積極的協力と機能的連携の事実を確認した。またアラブ主義とイスラーム政治関連資料調査では、El-Dany Naimaの「52年エジプト革命期におけるナーセルの政治とイスラーム」からは、アラブ連盟をめぐる初期アラブ外交史整理のための重要な示唆を得た。アジア経済研究所所蔵資料については、アラブ諸国の機能的協力観点から注目される教育関連の資料(特にアラブ連盟教育文化機構(ALECSO)の会議資料)を多く収集できた。 チュニスでの現地調査においては、元アラブ連盟日本代表のA氏と近年のアラブ諸国の関係の変化とアラブ連盟組織の機能の変化について議論し、アラブ連盟当局者の立場からも当初のアラブ連盟結成には英国の戦略的意図が影響していたとの認識があったことやアラブ諸国関係の転換点としてのキャンプデービッド合意の重要性を確認した。また、ALECSO本部において、H教育局長にインタビューし、特にアラビア語教育を中心とした協力の背景としてアラブナショナリズム期に組織がスタートしたことが、現代の協力関係の枠組みにも影響しているという事情を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アラブ外交とアラブ連盟の関係について、主に機能的協力関係の観点から資料収集を進めてきた。そのために、国内では国立国会図書館やアジア経済研究所の所蔵資料、海外では米国議会図書館・ジョージタウン大学・アラブ連盟本部・ALECSOなどから関連資料を収集できた。ただ機能的協力に関しては、教育関連の協力、対テロ関係の協力などに関しては、ほぼ計画通りの資料収集ができた。 しかし本来の研究の問題関心であった初期アラブナショナリズム期のアラブ諸国関係についての資料収集は十分に進展しているとはいいがたい状況である。その要因としてアラブ連盟本部の資料整理が必ずしも体系的になされていないことから収集が十分に進められないことがある。この辺は、アラブ連盟本部図書館ともさらに密な協力関係を構築し、効率的な資料収集を図る必要がある。 また、アラブナショナリズムに関しては、研究は進んでおり、特に米国やヨーロッパの図書館・研究機関所蔵の資料を収集する必要がある。また米国の大学図書館に多く所蔵されるアラブ連盟関連の博士論文などを網羅的に調査し、アラブナショナリズムとアラブ連盟の組織的発展についての多くの議論を収集・整理することが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
アラブ連盟本部(カイロ)において、アラブ連盟における理事会議事録を含む一次資料および、アラブ連盟発行資料の収集を行う。 エジプトとともにアラブ連盟とも歴史的にかかわりの深いヨルダンの研究機関や「敵国研究」としてアラブ主義やアラブ連盟の研究の蓄積の多いイスラエルの研究機関(テルアビブ大学・ヘブライ大学・ハイファ大学)において資料収集を行う。同諸機関の研究者と「アラブ主義」のアラブ諸国関係における役割についての意見交換を行う。 日本中東学会の論集(AJAMES)に、アラブ民族主義期におけるアラブ連盟を中心としたアラブ諸国関係への影響力に関する論文を投稿する。
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[Journal Article] ヨルダンの歴史2017
Author(s)
北澤義之
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Journal Title
加藤博・岩崎えり奈・北澤義之・臼杵悠・吉年誠『カフル・マー村研究―北西部ヨルダン山村の社会構造とその変容―』上智大学SIAS Working Paper Series
Volume: 1
Pages: 32-49
Peer Reviewed
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