2016 Fiscal Year Research-status Report
空間・時間・情報を通じた戦略相互作用の分析:基礎理論と空間経済学への応用
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16K03548
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾山 大輔 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (00436742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤嶋 翔太 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (50706835)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | interaction game / network game / dynamic game / incomplete information / equilibrium selection / potential game / economic growth / agglomeration |
Outline of Annual Research Achievements |
社会は多くの経済主体から構成され,それらの行動は互いに影響しあっている.多くの場合において,その相互作用の範囲は社会全体には及ばず,各主体は一部の主体と強く影響しあい,その他の主体とは薄く影響しあう,あるいは直接影響関係にはない.本研究は,人々の行動が空間,時間,情報を通じてどのように相互作用するのかを,ゲーム理論に基づく統一的な分析を通してより深く理解することをその目的とする.これらを分析する枠組みはそれぞれネットワーク・ゲーム,動学ゲーム,不完備情報ゲームであるが,この3つの理論は共通する数学的構造を持つ.この点に注目して包括的な視点からまとめて考察することで,それぞれの分野のさらなる理論的進展を図る.また,得られた成果を空間経済学の文脈に応用し,空間経済ネットワークにおける産業集積と経済成長との関係について新たな知見を得ることを目指す. 本年度は,まず,前研究課題からの継続である,有限人プレイヤーの確率動学ゲームモデルの近似分析をすすめ,いままでに得られている結果を国内外の学会で報告した.また,均衡の情報頑健性の分析における高階信念アプローチとポテンシャル最大化アプローチを統合する理論に関する研究をすすめ,論文執筆作業を行った.また,状態変数を含む完全予見動学モデルを用いた人々の立地選択を含む多地域経済成長モデルによる,産業の空間的集積と経済成長との関係を考察する理論研究をすすめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限ゲームの近似理論については得られた結果をいくつかの学会・セミナーで報告した.均衡の情報頑健性に関する理論研究,完全予見動学の空間経済学への応用研究についても順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
上記3つの研究課題については,論文を執筆・推敲し,学術雑誌に投稿する.ネットワーク上の行動伝播に関する研究に着手する.
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Causes of Carryover |
研究者招聘のための旅費が当初の予想を下回ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の研究者招聘のための旅費に加える.
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